「『痛い=壊れている』は本当?感覚と防御反応からみる“痛みの正体”」

こんにちは。神谷町の筋膜ケア専門院【拝志フィジカルセラピー ファシアラボ】です。

「痛い=何か壊れている」と感じていませんか?
腰痛や背中の張りが続くと、「骨がずれているのでは」「筋肉が切れたのでは」と不安になる方も多いと思います。

しかし、ファシア(筋膜)の視点から見ると、痛み=壊れているとは限りません。
むしろ、多くの慢性的な痛みは「組織の損傷」ではなく、感覚や防御反応の過剰な働きによって起こっているのです。

今回は、“痛みの正体”をわかりやすく解説していきます。

1. 「痛み=壊れている」とは限らない理由

病院でレントゲンやMRIを撮って「骨には異常ありません」と言われたのに、
実際には「痛い」「重い」「動けない」と感じることはありませんか?

それは、身体が危険を感じて“守るための反応”を起こしているためです。
つまり、痛みは“損傷のサイン”ではなく、“防御のサイン”であることが多いのです。

身体は損傷がなくても、次のような状況で「危険」と判断し、痛みを発します。

  • 長時間同じ姿勢を続けて筋膜が引っ張られている(継続負荷による硬化変性
  • ストレスや緊張で交感神経が優位になり、体が常に“戦闘モード”になっている
  • 過労・過飲食・睡眠不足などよって回復モード(副交感神経)が働かない

こうした状態が続くと、体は「危険を感じて動きを制限する」ようになります。
つまり、痛みは壊れた結果ではなく、身体があなたを守ろうとする自然な反応なのです。筋膜の動きが上手くいかない状態を感じ取っている状態なのです。

伸ばされ続けた場合に肥厚し、収縮が上手くいかない状態へ それが痛みになります。

2. 「痛み=ファシアの防御反応」

筋膜(ファシア)は、筋肉や内臓、骨、神経などを包み込む“全身ネットワーク”です。
この膜には非常に多くの神経受容器があり、温度や圧力、引っ張りなどの刺激を敏感に感じ取ります。

長時間の姿勢の乱れや、ストレスによる緊張が続くと、
筋膜がねじれたり、乾いて硬くなったりして、センサーが“異常を感知”します。

その結果、身体は「これ以上動くと危険」と判断して、筋肉を固めて守ろうとします。
その時に出る感覚が「痛み」です。

つまり、、
痛みは「壊れた結果」ではなく、「守ろうとして固まった結果」として現れているのです。

3. 痛みを感じるメカニズムは“感覚のズレ”でも起こる

神経科学の研究では、痛みは単に身体の状態だけでなく、
脳がどう「危険」を予測するかによって変わることがわかっています。

たとえば、

  • 「また痛くなるかもしれない」
  • 「前にぎっくり腰になったから怖い」
  • 「この姿勢は悪いと言われた」

といった「記憶」や「思い込み」があると、
脳は実際の損傷がなくても“危険信号”を出してしまいます。

このように、痛みは脳が予測した危険と、現実のズレによって強まることがあるのです。
ゆっくりとした圧、深い呼吸、全身の連動を通じて、
脳と身体の間にある誤作動をリセットし、「もう大丈夫」と身体に教えていくのです。

4. 「痛いから動かさない」は逆効果になることも

多くの人が「痛い=動かすと悪化する」と思いがちです。
しかし、“動きを止めすぎる”ことが回復を妨げる原因になることがあります。

筋膜は「動くことで潤う」性質を持っています。
完全に静止していると、筋膜は水分を失い、滑らかさをなくしてさらに硬くなります。

反対に、

  • ゆっくりとした呼吸をする
  • 軽く体を揺らす
  • 温めて血流を促す

といった“安心できる動き”を取り入れることで、
筋膜は「安全」と感じ、少しずつ柔軟性を取り戻していきます。

本質は、「痛みと戦うこと」ではなく、
身体に安心を与えて回復力を引き出すことなのです。

ファシア(筋膜)の運動不足による硬化変性も逆の意味で動きがないために固まります。

5. まとめ:「痛み」は身体からのメッセージ

痛みは「悪いもの」ではありません。
それは、身体が「ここに負担がかかっている」「今は休む必要がある」と教えてくれているセンサーです。

痛みのタイプどんな意味?対応の方向性
急性の強い痛み(ケガ・炎症)組織損傷の可能性あり安静・医療的処置
慢性的な鈍い痛みファシアの防御反応・感覚過敏呼吸・温熱・リリース
動くと出る痛み動作のクセ・筋膜の滑走不良動きの再教育・全身連動

痛みを「敵」と考えるのではなく、
身体の中で何が起きているかを教えてくれるメッセージとして受け取ること。

そのメッセージを静かに読み取り、
身体が再び“安心して動ける状態”へ戻していく手法です。

拝志フィジカルセラピー ファシアラボより

痛みを「壊れたサイン」と考えて不安になる必要はありません。
それはむしろ、身体があなたを守ろうとしている証拠です。

当院では、筋膜と神経の感覚を整え、**“痛みが怖くない身体”**を取り戻すサポートを行っています。

慢性的な腰痛や背中の張り、動作時の痛みなどでお悩みの方は、
ぜひ一度ご相談ください。
「痛みの本当の意味」を理解することが、回復への第一歩です。

慢性腰痛や背中の凝りを根本から改善したい方は、

神谷町駅徒歩1分のファシアラボへ。

直接ご予約できます。


投稿者プロフィール

拝志陽介
拝志陽介拝志フィジカルセラピー代表
私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。