「運動したほうがいいって言うけど、どの運動が安全かつ効果的?ヨガ?ピラティス?筋トレ?」
「腰痛を良くするには運動が大事ですよ」と言われること、多いですよね。
でも実際には、
「ヨガがいいの?」「ピラティスがいいの?」「それとも筋トレ?」
と迷ってしまう方がほとんどです。
実は、どんな運動をするかよりも大切なのは、“身体のつながり方”を整えることです。
今回は、私も参考にしているアメリカのパフォーマンスコーチ Chong Xie(チョン・シエ)氏 が提唱する「Hyperarch Fascia Training(HFT)」の考え方をもとに、
腰痛や姿勢改善に本当に効果的な運動についてわかりやすくお伝えします。
筋肉ではなく「ファシア(筋膜)」のつながりを整える
一般的な筋トレでは、「お尻の筋肉を鍛える」「太ももを強くする」といったように、
筋肉を部分ごとに鍛えることを重視します。
一方で、Chong Xie氏のHFT理論では、
筋肉よりも「ファシア(筋膜)」のネットワーク、つまり全身の張力のつながりを重視します。

たとえば、
「太ももを鍛えたのに腰痛が良くならない」
「お尻を鍛えても力が入らない」
という方は、筋肉の“部分的な強さ”ばかりを高めてしまい、
**全身の連動(バランス)**が崩れていることが多いのです。
HFTでは、「足裏のアーチ」から始まり、
足・ふくらはぎ・お尻・体幹・背中と、
ひとつの張力ラインとして身体を使うことを目的としています。
重いウエイトよりも“張力の流れ”を整える
「筋肉を大きくすれば痛みが減る」と思われがちですが、
HFTではその考え方を少し見直します。
チョン氏はこう言います。
「ファシアのつながりが切れたまま筋肉を鍛えても、力は全身に伝わらない」
つまり、筋肉をいくら大きくしても、
“力が伝わらない身体”になってしまうということです。
そこでHFTでは、まず「足裏の感覚・アーチの強さ・お尻とのつながり」を再教育します。
この感覚が整ってから、軽い負荷を使ってウエイトトレーニングを行うのが理想です。
重すぎる負荷をかけると、ファシアの流れが断ち切られ、
「動作が分離した身体」になりやすいため、
あくまで軽負荷×感覚重視が原則です。
HFTは「張力トレーニング」
HFTの本質は「力を入れる」ことではなく、**“張力をつくり、保ち、伝える”**ことです。
具体的には次のような感覚を意識します。
- 足裏で地面をしっかりとらえる(アーチの剛性)
- 足首・ふくらはぎ・お尻を連動させる
- お尻から体幹・上半身へと、力を巻き上げるように伝える
この“張力の橋渡し”ができると、
ファシア(筋膜)の弾力性が高まり、動作効率が上がります。
結果的に、
- 力が逃げない
- 動きが速くなる
- 疲れにくい
という、しなやかで強い身体に変わっていくのです。
HFT的に見た「筋トレ」と「他の運動」との違い
| 項目 | 一般的な筋トレ | HFTの考え方 |
| 目的 | 筋肉を大きくする・筋力強化 | 全身のつながり(ファシア)を整える |
| 重視する要素 | 筋肉単体 | 全身の張力と感覚の統合 |
| 力の伝達 | 部分的(筋肉ごと) | 足裏→お尻→体幹→上半身へと連続 |
| 負荷の使い方 | 高重量で追い込む | 軽負荷で張力を保つ |
| トレーニングの順序 | 筋肉→動作 | 感覚→動作→筋力 |
つまり、HFTでは「感覚」を鍛えてから「力」を鍛えるのがポイントです。
いきなり筋肉を鍛えるよりも、
まず「身体の連動を取り戻す」ほうが、結果的に安全で効果的なのです。
ファシア視点で見る「安全で効果的な運動」
腰痛や背中の凝りで悩む方が、安全に始められる運動として
おすすめなのは足裏のトレーニングです。
・足裏アーチトレーニング(Hyperarch Hop)
かかとを少し浮かせ、つま先で小さくリズミカルに跳ねる。
足裏の感覚とお尻の連動を育てる。

これらは、ファシアを潰さず・神経と連動を回復させる運動です。
初めは地味に感じるかもしれませんが、
身体がひとつにつながると、日常の動きそのものが変わります。
まとめ:「動かす前に、まず“つなげる”」
運動は確かに大切です。
でも、どんな運動をするかよりも、
「どんな感覚で身体を使うか」がもっと大事なのです。
筋肉を追い込むよりも、
足裏からお尻、体幹へと“力をつなげる”感覚を育てることで、
腰痛や背中のコリを根本から改善できる可能性が高まります。
ヨガやピラティス、筋トレを選ぶ前に、
一度「足裏から始まるファシアの連動」を意識してみてください。
身体が軽くなり、姿勢が自然に整い、動きが変わっていくのを感じられるはずです。
**神谷町の筋膜ケア専門院【拝志フィジカルセラピー ファシアラボ】**では、
HFTの理論も取り入れながら、
“ファシアのつながり”を整える施術とセルフケア指導を行っています。
「安全に動きたい」「根本から身体を変えたい」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
慢性腰痛や背中の凝りを根本から改善したい方は
神谷町駅徒歩1分のファシアラボへ
投稿者プロフィール

- 拝志フィジカルセラピー代表
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私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。






