施術の効果はどれくらい持続するのか?また再発しない方法は?
こんにちは。神谷町の筋膜ケア専門院【拝志フィジカルセラピー ファシアラボ】です。
「せっかく施術を受けたのに、すぐに元に戻ってしまう…」
そんな経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
今回は、マイオファッシャル・リリース(Myofascial Release; MFR)による施術の効果の持続と再発防止について、わかりやすくお話しします。
1. MFRの基本的な考え方:「その場しのぎ」ではなく「構造と記憶の解放」
一般的なマッサージは、筋肉の緊張をほぐし、血流を良くすることを目的としています。
それに対して、**マイオファッシャル・リリース(MFR)**は、筋肉の外側を包み、全身をひとつにつないでいる「筋膜(ファシア)」に働きかける施術です。
この筋膜は、ゴムのように弾力がありながら、ゼリーのような粘り気を持つ「粘弾性(ねんだんせい)」という性質をもっています。
その特性を生かし、3〜5分以上かけてゆっくり圧を加えることで、硬くなっていた部分がやがてやわらかくなり、内部の構造が再び流れるように変化していきます。
この現象を**「ソル・ゲル変化」**と呼びます。

このとき起こっているのは、単なる筋肉の“ゆるみ”ではありません。
実は、身体の奥に蓄積されたストレスや緊張――つまり、「身体の記憶」そのものが解放されていくプロセスなのです。
少し意外に聞こえるかもしれませんが、私たちの身体は「心」と切り離せません。
不安や怒り、悲しみといった感情の反応が、姿勢や筋膜の緊張パターンとして残ることがあります。
MFRはその“無意識の防御”を少しずつゆるめ、身体が本来もっている自然な流れと安らぎを取り戻していくアプローチです。
つまり、MFRは「気持ちいいマッサージ」ではなく、
身体が“思い出す”ための静かな対話の時間。
だからこそ、深く、そして持続的な変化へとつながっていきます。

2. 効果の持続期間は? 〜組織変化のプロセス〜
「どれくらい効果が続くの?」という質問をよくいただきます。
実際には、身体の状態や生活習慣によって差がありますが、MFRの変化は段階的に定着していくのが特徴です。すぐ解放されるケースもありますが、それは稀なケースです。
| 期間の目安 | 身体の変化の傾向 |
| 初回~数回 | 神経や自律神経が反応しやすく、施術後に眠気や倦怠感、違和感などが出ることも。緊張が解け始める初期段階。 |
| 3~6回(約2~6週間) | 筋膜の滑りが良くなり、姿勢や呼吸の深さが自然に症状が変化してくる時期。 |
| 8~12回(1~3ヶ月) | 組織の再構築(リモデリング)が始まり、動作のクセが安定してくる。 |
| 3~6ヶ月以降 | 身体が自らバランスを保てる「自己調整力」が高まり、施術なしで安定した状態に。 |
つまり、MFRの目的は「どれくらい楽になるか」よりも、
**「どれくらい安定した変化を身体が学習できたか」**が大切なのです。
短期的な変化よりも、身体が新しいバランスを「覚える」時間がポイントになります。
3. 再発しないために大切な3つの視点
(1) 慢性的なパターンの「根」を解放する
痛みが何度もぶり返す最大の原因は、姿勢や動作のクセ、そして感情や思考のパターンが筋膜に“硬さ”として刻み込まれていることにあります。
たとえば、
「いつもこめかみが張っている」
「気づくと肩に力が入っている」
――こうした状態は、単なる“癖”になっていますが、心や思考の緊張が身体に映し出されているサインでもあります。
身体は、心が感じていることをそのまま“形”で表現します。
つまり、感情のこわばりは筋膜のこわばりとして現れ、時間とともに慢性的な痛みの土台になっていくのです。
MFRでは、無理にほぐしたり矯正したりすることはしません。
身体が「解放したい」と感じている方向に静かに寄り添うことで、深層の緊張が自然にほどけていきます。
施術者と受け手の両方が“待つ”こと――それが何より大切です。
「待つ時間」の中で、身体は安全を感じ、ようやく自ら守っていた鎧を脱ぐことができるのです。
再発を防ぐカギは、身体への信頼を取り戻すこと。
「なぜ、そこが硬くなっているのか」「なぜ、その動きを避けてしまうのか」――その“気づき”が生まれた瞬間、身体はもう変わり始めています。
身体は本来、整う力を持っています。
MFRはその力を“思い出す”ためのサポートです。
自分の身体と再び協力関係を築けたとき、痛みは「敵」ではなく、「教えてくれる存在」に変わっていきます。(重要)
(2) 日常動作の「使い方」を変える
施術で筋膜が整っても、日常生活でのクセが続くと再び緊張します。
次のような小さな工夫で、持続力は大きく変わります。
- 長時間座りっぱなしを避け、30〜40分に一度は立って伸びをする
- 重力を意識して、背中を丸めない
- 浅い呼吸ではなく、胸や肋骨が動く深い呼吸を意識する
- 水分をこまめに摂る(筋膜は水分に非常に敏感です)
ファシアは“使い方”次第で柔らかくも硬くもなる組織です。
日常動作の質を変えることが、最もシンプルで強力な再発予防になります。
(3) セルフMFRで「メンテナンス型の身体」に
施術の効果を長く保つためには、セルフケアの習慣化がとても大切です。
難しいことをする必要はありません。
日々のストレッチや呼吸の中に、少しだけ「感じる時間」を加えるだけで十分です。
たとえば、こんな風に行ってみてください。
- ゆっくり1〜2分、ひとつの動きを丁寧に。
- 「どこが伸びているかな」と感じながら行います。
- 伸ばしたあとは、息を深く吐いてリラックス。
- 目を閉じて、寝てしまいそうなくらい“脱力”してみましょう。
このとき大切なのは、「動かすこと」よりも「感じること」。
筋肉を一生懸命伸ばすよりも、身体が“ゆるむ方向”に委ねることがポイントです。
これらは特別な道具や器具がなくてもできます。
たとえば朝起きたときや、仕事の合間、夜寝る前のほんの数分でも構いません。
自分の身体を「感じる時間」を少しでも持つことで、
施術で整った状態がやさしく保たれていきます。
そして、こうしたセルフMFRを続けていくうちに、
あなたの身体は少しずつ“自分で整える力”を取り戻していきます。
痛くなったら治す――ではなく、いつでもメンテナンスできる身体へ。
それが、MFRが目指す「自立した健康」の形です。
4. まとめ:MFRの“持続”とは「解放の学習」
MFRの“持続”とは、単に効果が長く続くという意味ではありません。
それは、身体が「解放された感覚」を学び、自分のものとして記憶していくプロセスです。再発を防ぐというのも、特別なことではありません。
「今、身体が何を感じているか」に耳を澄ませ、
呼吸や姿勢、ちょっとした違和感に気づけるようになること。
それこそが、自分の身体を守る第一歩です。
身体は、私たちが思っている以上に“聡明”です。
頭で考えすぎなくても、身体の声に従って行動するだけで、自然と良い方向へ導かれるのです。
MFRは、その「身体の知恵」を思い出すための手助けにすぎません。
慢性腰痛や背中の凝りを根本から改善したい方は、
神谷町駅徒歩1分のファシアラボへ
投稿者プロフィール

- 拝志フィジカルセラピー代表
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私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。






