世界で注目される最新研究 筋膜リリースの科学的根拠とは?

筋膜リリースとは?なぜ世界で注目されているのか

「筋膜リリース」という言葉を耳にしたことはありますか?
筋膜(ファシア)は、筋肉や骨、内臓、血管、神経までを全身でつなぐ“ボディスーツ”のような組織です。
この膜が硬くなったり癒着したりすると、慢性的な腰痛や背中の凝りの原因になります。そこで行うのが「筋膜リリース」。やさしく持続的な圧をかけて筋膜をゆるめる施術で、世界中の医療・研究の分野で注目が高まっています。

最近の研究では、「単なるマッサージ」ではなく、科学的に証明されつつある効果が報告されています。

オレンジと身体の筋膜はよく似ています

炎症を抑える働き ― インターロイキンが分泌される

十分な時間をかけて筋膜リリースを行うと、体内で特別な反応が起こります。
研究によると、施術を受けた人の体内では インターロイキン8(IL-8) という物質が増えることが分かっています。これは、体が自ら作り出す“自然の抗炎症物質”。つまり、薬に頼らずに炎症を鎮める力が目覚めるのです。

さらに、インターロイキン3(IL-3)やインターロイキン1β(IL-1β) も分泌されます。これらは血流の促進や免疫の活性化に関わり、身体の回復をサポートしてくれます。
慢性痛の背景には “炎症反応がうまく働かないこと” が多いとされており、筋膜リリースがそれを整える可能性は非常に大きいのです。

水の「第4の相」と筋膜 ― 液晶のような働き

「水には固体・液体・気体の3つの状態しかない」と習った方も多いでしょう。
しかし、米国の研究者ジェラルド・ポラック博士は、“第4の相(液晶状態)” を発見しました。これは規則正しく並んだ水分子の層で、まるで筋膜の性質そのものに似ています。

筋膜は水分を含み、体の滑らかな動きを助けています。
十分なケアをすると、この“液晶的な状態”が保たれ、身体はスムーズに動きやすくなるのです。

「カオス」と「相転移」 ― 体が変わる瞬間

従来の医療やリハビリは「秩序立った制御」を重視します。けれども人の体が本当に変わるとき、一度「カオス(混沌)」の時期を通ることが分かっています。

筋膜リリースの施術中、「痛みが一瞬強まる」「感情が揺さぶられる」 といった体験をされる方がいます。これは体が “相転移”を迎えているサイン
システム理論では、混沌を経てこそ再び秩序が生まれ、より高いレベルへと再構築されるとされています。

共鳴(レゾナンス) ― セラピストと体が同調する瞬間

筋膜リリースでは、施術者が一定の圧を静かに保ちます。すると、患者さんとセラピストの“振動レベル”が次第に近づき、やがて完全に一致する瞬間が訪れます。

これを 「共鳴(レゾナンス)」 と呼びます。
共鳴が起きると、過去のケガやストレスで体内に閉じ込められていたエネルギーが動き出し、外へ解放されるのです。これこそが 「リリース(解放)」の本質。

治療的な痛みと安心感 ― 信頼関係が生む癒し

施術の最中に「少し痛い」と感じる方もいます。ですが、それは強引な力ではなく、体が本来の感覚を取り戻しているサインです。私たちは 「治療的な痛み」 と呼びます。

もちろん、不快なときは遠慮なく「緩めてください」とお伝えください。セラピストは必ず尊重し、調整します。大切なのは “あなたが完全にコントロールしている”という安心感です。

この信頼関係があって初めて、体は深いレベルでリラックスし、リリースが進んでいきます。

なぜ筋膜リリースは時間が必要なのか

筋膜リリースは時間との勝負ではない」ということです。最初の1〜2回は“教育の時間”。患者さん自身も、これまでの論理的で直線的な発想から離れ、体の非線形な反応を体験していく必要があります。

現代社会は「すぐに結果を求める」傾向が強いですが、筋膜リリースはあえて “待つ”ことが重要です。静かに触れ、感じ、共鳴を待つ。その先に、体の深い変化が現れます。

まとめ ― 科学と体験が示す「本当の癒し」

近年の研究で、筋膜リリースは単なるリラクゼーションではなく、

  • 抗炎症物質の分泌(IL-8, IL-3, IL-1β)
  • 筋膜の液晶的な性質による動きやすさ
  • カオスを経た再組織化
  • セラピストと患者の共鳴による解放

といった科学的に裏付けられたメカニズムを持つことが分かってきました。

だからこそ、**慢性腰痛や背中の凝りに悩む方にとって「根本改善」の道」**となり得ます。

拝志フィジカルセラピー ファシアラボでは、この最先端の知見を取り入れ、正しく、安全に、そして安心できる筋膜リリースを行っています。
あなたの体が持つ“自然の治癒力”を引き出し、健康な毎日をサポートしていきます。

直接ご予約できます

投稿者プロフィール

拝志陽介
拝志陽介拝志フィジカルセラピー代表
私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。