姿勢を改善しても痛みが取れないのは何が足りないのか?
姿勢を正しても痛みが消えない理由
「姿勢をよくすれば腰痛や肩こりは治る」
そう聞いたことがある方も多いと思います。確かに、猫背を直したり、骨盤を立てて座ったりすることで一時的に楽になることはあります。
しかし実際には、「姿勢を意識して直しても、痛みが残っている」「数日で元に戻ってしまう」という方も少なくありません。
その理由は「見た目の姿勢」だけを整えても、身体の中のバランスが整っていないからです。
見落とされがちな“重力”の存在
私たちは常に「重力」の中で生きています。
空気のように当たり前の存在なので、多くの人はその影響を忘れがちですが、重力は常に身体に負担をかけ続けています。
理想的な状態では、頭から足まで身体の重さがまっすぐ下に伝わり、余計な力を使わずに立ったり歩いたりできます。
ところが、少しでも重力の軸からずれると、身体はそのズレを補うために筋肉や膜(ファシア)を緊張させます。
つまり、姿勢の崩れ=重力に対するアンバランスが起こると、無意識のうちに余分なエネルギーを消耗するようになってしまうのです。

姿勢の崩れが生む「自己矛盾」
身体は本来、重力に対して最小限の力でバランスを保とうとします。
ところがバランスが大きく崩れると、**身体は“自分自身と戦う**ような状態に追い込まれます。
たとえば…
- 前に傾いた頭を支えるために首や肩がガチガチに緊張する
- 骨盤が前後に傾くことで腰回りに余計な負担がかかる
- 足裏のバランスが崩れて膝や股関節にまで影響が広がる
このように、ある部分のズレを補うために別の部分が無理をする「連鎖反応」が起こります。
結果として、身体全体が常に緊張しているような状態になり、痛みやコリが慢性化していきます。

筋膜(ファシア)が緊張するとどうなるか?
ここで重要なのが「筋膜(ファシア)」です。
筋膜とは、筋肉や骨、内臓、血管や神経まで、全身をつないでいる薄い膜のこと。まるで全身タイツのように身体を包み込んでいます。
姿勢が崩れると、この筋膜が引っ張られたりねじれたりして、全身に緊張が広がっていきます。
筋膜は柔らかく伸び縮みできるのが理想ですが、緊張が続くと固くなり、血流や神経の働きにも影響を与えます。
つまり、姿勢を正しても**筋膜の緊張が残っていれば、痛みや凝りは改善されない**のです。
身体の“許容範囲”を超えるとどうなるか?
人間の身体には「ある程度のズレなら対応できる」許容範囲があります。
しかし、長期間の不良姿勢やストレス、過度な緊張が続くと、この許容範囲を超えてしまいます。
すると…
- 慢性的な腰痛や肩こり
- 頭痛やめまい
- 疲れやすさ、集中力の低下
といった症状が現れやすくなります。
これは身体が「もう限界です」というサインを出している状態なのです。
本当に必要なのは“全身のバランス調整”
痛みを根本から改善するには、「姿勢」だけでは不十分です。
大切なのは、重力に対して全身がバランスよく立てるように整えることです。
当院で行っている筋膜ケア(ファシアリリース)は、硬くなった筋膜をゆるめ、全身のつながりを取り戻す施術です。
筋膜が柔軟になると、自然と身体が重力軸に沿って立てるようになり、無理なく正しい姿勢が保てるようになります。
その結果、
- 慢性的な腰痛や背中のコリが軽減
- 呼吸が深くなり疲れにくい身体に
- 動作がスムーズになりパフォーマンスも向上
といった変化を感じる方が多くいらっしゃいます。
姿勢を直してもダメだった方へ
もしあなたが「姿勢を気をつけても痛みが取れない」と悩んでいるなら、それは筋膜の緊張と重力バランスの乱れが関わっている可能性が高いです。
見た目の姿勢を直すだけではなく、身体全体のつながりを整えること。
これが、本当の意味での「痛みの根本改善」への近道です。
まとめ
- 姿勢を直すだけでは痛みは改善しない
- 原因は「重力バランスの崩れ」と「筋膜の緊張」
- 姿勢を整えないと身体は自分自身と戦うような状態に追い込まれてしまう
- 筋膜ケアによって全身のつながりを整えることが必要
痛みが長引いている方は、「姿勢」だけでなく「重力」と「筋膜」に注目してみてください。
身体の本当の声に耳を傾けることで、きっと新しい改善の道が開けるはずです。
ぜひ一度ご相談ください。
投稿者プロフィール

- 拝志フィジカルセラピー代表
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私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。







