腰痛を抱えているとき、どれくらい動いたほうがいい?どれくらい休むべき?
こんにちは。
神谷町の筋膜ケア専門院【拝志フィジカルセラピー ファシアラボ】です。
腰が痛いとき、「動かしたほうがいいの?」「安静にしたほうがいいの?」と迷ったことはありませんか?
実はこの“動くか、休むか”の判断こそ、腰痛を長引かせるかどうかの分かれ道になることがあります。
「マイオファッシャル・リリース(Myofascial Release; MFR):筋膜ケアの方法」の考え方では、「動く」と「休む」はどちらも回復の一部です。
しかし、多くの人がこのバランスを誤解してしまっています。
「痛いからできるだけ動かないようにしよう」と長く休みすぎたり、
「動いたほうが治るはず」と我慢して動いて悪化させたり…。
ここでは、MFRの視点から見た腰痛時の「動く」と「休む」の最適バランスを
専門的だけどわかりやすくお話しします。
1. 「動きすぎ」も「休みすぎ」も、どちらも回復を遅らせる
腰痛が出ると、多くの方は「動かさない方がいい」と思いがちです。
確かに、**ぎっくり腰などの急性期(発症から1〜3日ほど)**は安静が必要です。
この時期は、筋膜や筋肉の微細な損傷による炎症が起きている状態。
「鋭い痛みがあり、身体を動かすことができない」ほどの痛みなら、無理に動かすのは禁物です。

一方で、慢性腰痛や筋膜のこわばりが原因のケースでは、完全な安静は逆効果です。
この場合は、「鈍い痛みで、ゆっくりなら動かせる」「限られた範囲なら大丈夫」など、少しずつ動かせる状態になっています。
ファシア(筋膜)は動くことで血液やリンパが流れ、柔軟性を保つ組織です。
長く休みすぎると、筋膜が“縮こまり”“癒着し”“滑りが悪く”なってしまいます。
つまり――
動かしすぎても、動かさなすぎても、どちらも回復を遅らせるのです。
大切なのは、「耐えられる範囲で動かす」こと。
その加減が、専門家でないと難しい部分でもあります。
2. ファシアの性質から見る“理想的な動かし方”
筋膜(ファシア)は「非ニュートン性」と「温度による粘度変化」という性質を持っています。
少し難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと――
- 温まるとしなやかに柔らかくなる
- 冷えると硬くなり、動きにくくなる
という特徴があります。
動くことで血流が良くなり、筋膜の温度が上がり、組織が滑らかになります。
その結果、摩擦や圧迫が減り、痛みも軽くなるのです。
MFRの考え方では、このように「動くこと」も立派な治療の一部。
ただし、動かすときにはいくつかのコツがあります。
3. 動くときの3つのポイント
(1)“痛気持ちいい”範囲で止める
動くときに「少し伸びる」「温かくなる」「心地よい痛み」がある程度ならOKです。
「ズキッ」「ピキッ」と鋭い痛みを感じる動きは避けましょう。
我慢して動くのではなく、“感じながら動く”ことが大切です。
(2)ストレッチしない
痛みが強い時期に無理なストレッチは逆効果です。
私自身もスポーツをしていますが、ケガをした直後にストレッチは絶対にしません。
ストレッチは「健康な状態での予防」には効果的ですが、「痛めている時の修復」には不向きです。
筋膜が炎症を起こしている状態で引っ張ると、損傷を広げるリスクがあります。
(3)低負荷・高頻度で動かす
「軽い動きを、ゆっくり何度も」が基本です。
たとえば、腰痛の場合――
軽くお辞儀するように前後に動かしたり、ゆっくり体を横に倒したり、腰を少しねじってみたり。
回数を重ねるうちに、少しずつ動きの範囲が広がっていきます。
“ゆっくり・やさしく・感じながら”動かすことがポイントです。
4. 状況別の目安
| 状況 | 動く割合 | 休む割合 | 目安 |
| ぎっくり腰(急性期1~3日) | 2 | 8 | 無理に動かさず、温めながら呼吸を整える |
| 痛みが落ち着き始めた回復期 | 5 | 5 | 軽い歩行や深呼吸を意識して再開する |
| 慢性腰痛・こわばり型 | 7 | 3 | 積極的にゆっくり動く。座りっぱなしを避ける |
| 疲労・ストレス性腰痛 | 6 | 4 | 日ごとに動きと休息のバランスを調整する |
「休む → 感じる → 動く → また休む」
このリズムをつくることが、ファシアが自然に回復するサイクルです。
5. MFRの視点からのアドバイス
「マイオファッシャル・リリース:MFR」を受けた後も、「まったく動かない」より、身体が“動きたがる”タイミングを尊重することが大切です。
施術によって緩んだ筋膜は、まるで再起動したパソコンのような状態。
動きを与えることで、身体全体のバランスが再び馴染んでいきます。
逆に、施術後に長時間座りっぱなしだったり、冷えを放置してしまうと、せっかく整った筋膜がまた硬く戻ってしまいます。
軽い散歩や深呼吸を取り入れて、「新しい柔らかさ」を身体に覚えさせてあげるのがおすすめです。
6. 最後に:動きながら休む、休みながら動く
腰痛を改善していくうえで最も大切なのは、
「動く」と「休む」を対立させないことです。
どちらも、あなたの身体が自然に回復するために必要なプロセス。
MFRの視点では、動くことも休むことも、どちらも「感じる練習」です。
悪くなっている筋膜は、動かしすぎても痛みが出るし、動かさなければ固まり続けます。
そのバランスを見極めるのは確かに難しいですが、
“身体の声を聞きながら、少しずつ整えていく”ことが何より大切です。
まとめ
- 急性期は安静を優先、慢性期は“感じながら動く”が基本
- 「痛気持ちいい」範囲を守る
- 呼吸を止めず、ゆっくりと動く
- 休む=重力から解放され、身体を整える時間
腰痛があるときほど、身体の声に耳を傾けてみてください。
「今日は動きたい」「今日は休みたい」――その小さな感覚こそ
あなたの治癒力のサインです。
拝志フィジカルセラピー ファシアラボでは、
筋膜(ファシア)の状態を丁寧に見極めながら、整える施術を行っています。
慢性的な腰痛や背中のこわばりでお悩みの方は、
ぜひ一度ご相談ください。
慢性腰痛や背中の凝りを根本から改善したい方は、神谷町駅徒歩1分のファシアラボへ
投稿者プロフィール

- 拝志フィジカルセラピー代表
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私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。






