長時間のデスクワーク/座り仕事をしているとき、どう腰を守ればいいか?
〜筋膜(ファシア)から見る“腰を守る新常識”〜
こんにちは。
神谷町の筋膜ケア専門院【拝志フィジカルセラピー ファシアラボ】です。
デスクワークや座り仕事が長く続くと、どうしても腰に負担がかかりますよね。
「一日中座っていたら腰が痛くなる」
「夕方になると腰が重だるい」
「座っているだけなのに疲れる」
実はこのような腰の不調、“筋力不足”ではなく“動かなすぎ”が原因のことがほとんどです。
ファシア(筋膜)の観点から見ると、
**腰を守る最大のポイントは“固めないこと”**です。
■ なぜデスクワークで腰痛が起きるのか?
長時間のデスクワークで腰痛が起きる一番の理由は、動かない時間が長すぎること。
じっと同じ姿勢で座り続けると、筋肉よりも先に「筋膜(ファシア)」が硬くなってしまいます。
筋膜とは、全身の筋肉や内臓を包み、身体をひとつにまとめている“つながりの膜”のこと。
本来は体の中で組織同士を滑らかに動かす“潤滑構造”なのですが、同じ姿勢が続くと内部の水分が滞り、粘性が増してベタッとくっつくようになります。
この「ファシアの癒着(ゆちゃく)」が、腰まわりのこわばりや重だるさ、痛みをつくる根本的な原因です。
つまり、腰を守るために大切なのは、
- 一定時間ごとに姿勢を変える
- 呼吸を深く保つ
- ファシアの流れを止めない
この3つを意識することなのです。

① 30分に一度は「動きを入れる」
腰痛対策の第一歩は、**“動きを止めないこと”**です。
たとえ立ち上がれなくても、ファシアを動かすことは可能です。
おすすめの“動かないリリース”
- 骨盤を前後に小さくゆらす
→ 背骨〜腰のファシアをゆるめ、長時間の座圧を分散 - 肩甲骨をそっと動かす
→ 背中のファシアライン(胸腰筋膜)を刺激して循環UP - 足の裏で床を軽く押す
→ 下肢から骨盤へ“微振動”を伝え、ファシアの滑りを促す
このように「動き続ける姿勢」を意識するだけでも、ファシアの硬化は防げます。
特に30〜40分に一度、立ち上がって2分歩くだけでも効果的です。
座りっぱなしは“静かな炎症”をつくります。
わずかな動きでも、身体はしっかり反応してくれますよ。

② 呼吸を止めない ― 横隔膜ファシアをゆるめる
座っていると、無意識に呼吸が浅くなりがちです。
実はこれも腰痛の大きな原因のひとつです。
なぜなら、呼吸をつかさどる「横隔膜」は、腰の筋膜(胸腰筋膜)と直接つながっているからです。
呼吸が浅くなると横隔膜が硬くなり、連鎖的に腰のファシアまで引っ張られてしまいます。
簡単にできる呼吸リリース
- 背もたれから少し離れて座る
- 胸を開きながら「鼻で3秒吸って」「口で6秒吐く」
- 吐くときに「背中が沈むように」意識する
これを1時間に2〜3回行うだけで、腰の奥の緊張が和らぎ、ファシアの流れが戻ります。

③ 腰を「支える」より「動きを助ける」座り方を
よく「腰を支えるクッション」を使う方も多いですが、MFR的には**“支えすぎない”**ことも大切です。
背もたれに深くもたれると、骨盤が後ろに倒れ、腰の筋膜が引き伸ばされたまま固まります。
これが長く続くと「腰を引っ張る痛み」が生まれやすくなります。
おすすめの座り方
- 骨盤を立て、坐骨で座る
- 背もたれには軽く触れる程度(ずっとでなくても)
- 両足の裏をしっかり床につける
- 膝と股関節の角度は約90度
また、座面が柔らかすぎると骨盤が不安定になるため、やや硬めの椅子が理想です。
「支える」より「動ける姿勢」を意識してみてください。
④ 仕事の合間に「ファシア・リセット」を入れる
日中に一度でも“ファシアを解放する時間”を設けると、痛みの蓄積を防げます。
1分でできるMFR的セルフリリース
- 立って両手を腰に当て、軽く後ろに反る(5〜10秒)
- 手を上げて背伸びし、ゆっくり息を吐く
- 腰まわりをさするようにマッサージ(表面を温める)
ファシアは「温度」と「流れ」に敏感です。
軽く温めることで粘性が下がり、動きやすくなります。
これだけで、長時間座っても「痛みが出にくい身体」に変わっていきます。
⑤ 痛みが出てしまったときの対処 ― 冷やさないこと
デスクワークによる腰痛は、ケガのような急性炎症よりも、循環不良と緊張の蓄積が原因です。
そのため、冷やすよりも温めてゆるめるほうが回復につながります。
おすすめの方法は次の通りです。
- カイロや蒸しタオルを腰の後ろに当てる
- 入浴時に腰〜お尻を丁寧に温める(湯船にしっかり浸かる)
- 温めたあとに軽くストレッチを行う
温めることで、ファシア内の水分が再び動き出し、「滑らかに動ける状態」が戻ります。

臨床でよく見られる変化
実際に当院でマイオファッシャル・リリースを受けている方でも、
「長時間のデスクワーク後の痛みが減った」
「仕事のあとでも身体が固まらなくなった」
という変化がよく見られます。
これは、MFRによって
- ファシアが柔らかく再構築され
- 自律神経が安定し
- 呼吸と姿勢が整う
という“回復のサイクル”が回り始めるからです。
デスクワークの腰痛は「筋力不足」ではなく、“動きの循環不足”。
ファシアの流れを取り戻すことこそ、根本改善への鍵です。
まとめ:座り仕事でも腰は守れる
| 対策ポイント | ファシアへの効果 |
| 30分ごとの小さな動き | 血流・水分循環を保つ |
| 深い呼吸 | 横隔膜~腰筋膜をリリース |
| 骨盤を立てて座る | 背中の張りを軽減 |
| 軽く温める | ファシアの粘性を下げる |
| 仕事後のストレッチ | 日中の負担をリセット |
最後に
「動かないこと」が腰の敵。
「動き続けること」が最高の予防。
マイオファッシャル・リリース(MFR)の考え方では、
“座りながらでも動きを保つ意識”こそがリリースにつながります。
あなたの身体が硬くならないよう、
日常の中で“動ける腰”を育てていきましょう。
慢性腰痛や背中の凝りを根本から改善したい方は、
神谷町駅徒歩1分のファシアラボへ
投稿者プロフィール

- 拝志フィジカルセラピー代表
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私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。






