腰痛改善にストレッチは効果ある?正しいやり方とは?

腰痛にストレッチは本当に効くの?

端的にお答えするとすれば、「やり方によっては腰痛に効果あります。」

腰痛に悩んでいる方の多くが「とりあえずストレッチをすれば楽になるはず」と考えて実践しています。実際、ストレッチで一時的に筋肉のこわばりが和らぎ、血流が良くなることもあります。
しかし、「ストレッチしてもすぐ元に戻ってしまう」「逆に痛みが悪化した気がする」という声も少なくありません。

なぜ同じストレッチでも効果がある人とない人がいるのでしょうか。
そのカギを握っているのが、近年注目されている「筋膜(ファシア)」です。

筋膜(ファシア)とは?腰痛との深い関係

筋膜とは、ファシア(体を包む膜組織)の一部で、筋肉を包んでいる薄い膜のことです。
ただしファシア自体は、筋肉だけでなく、骨や内臓、血管、神経まで全身をつなぎ、体を支える“ボディスーツ”のような存在でもあります。


この筋膜がスムーズに動いていれば体はしなやかに動きますが、逆に硬くこわばると筋肉や関節の自由度が下がり、「腰が重い」「腰を曲げると痛い」といった症状につながります。

ストレッチだけでは腰痛が改善しない理由

ストレッチは筋膜を伸ばす方法として有効ですが、筋膜が「線維化」「肥厚」が起こっている場合は、十分に解消できないことがあります。特にデスクワークなどで同じ姿勢が続いたり、運動不足が重なったりすると、筋膜はその負荷に順応して硬くなり、そこで軽い炎症が毎日の様に繰り返され「肥厚し、線維化」していきます。そこまでの状態はすぐに腰に痛みが出てくる様になりますし、結果としてストレッチの効果も限定的になってしまうのです。

筋膜のちょっと不思議な性質

筋膜には、ちょっと面白い性質があります。
それは「ゆっくり力がかかると柔らかくなり、強い力がかかると一瞬で硬くなる」というものです。「「非ニュートン流体」という性質。

イメージしやすいのは 片栗粉を水に溶いたもの
ゆっくり押すと指が沈みますが、強く叩くと硬く感じますよね。

筋膜も同じで、普段はやわらかく体を動かしやすくしてくれます。
でも転んだときやスポーツで強い力が加わると、サッと硬くなって体を守ってくれるのです。

正しい筋膜ケアのやり方

では、どうすれば筋膜を柔らかくして腰痛を改善できるのでしょうか。先ほど説明したように、ファシア(筋膜)は早く動く刺激で硬くなる性質があるので緩んでくれません。しかし、ゆっくり力を加えると柔らかくなります。ですから、ポイントは「ゆっくり」「じんわり」とした刺激です。

1. ゆっくり伸ばすストレッチ

ストレッチの基本は「呼吸に合わせて、じんわり伸ばす」ことです。
20~30秒かけてゆっくり伸ばすと、筋膜(ファシア)がほぐれて体が動きやすくなります。

コツは「力を抜くイメージ」。
たとえば電車でうたた寝をして、体が「だら〜っと」ゆるんでいる姿を思い浮かべてみてください。

筋膜は、ただ強く伸ばせば伸ばすほど硬さが出てしまいます。
大切なのは「伸びて気持ちいい」と感じる手前のところで止めて、息を「ふーっ」と吐くこと

それだけで体の緊張が解け、筋膜がやわらかくなり、質の良いしなやかさが出てきます。

2. 軽い圧をかけるセルフケア

テニスボールやフォームローラーを使って、腰やお尻の筋肉の上に体を預けるようにして軽く圧をかけます。早く解決したい気持ちは分かりますが!このときゴリゴリと強く押さず、「少し痛気持ちいい」程度に留めるのがポイントです。痛いとファシアが緊張して防御してしまいます。そして、ポイントは図の様に「ずらし」を入れることです。

3. ストレッチだけでなく「縮める動き」も大切

意外に思うかもしれませんが、筋膜(ファシア)は いろいろな方向に動かすこと が大切です。

腰痛の原因になりやすいのが「胸腰筋膜(腰を広く包む分厚い膜)」や「脊柱起立筋(背骨を支える筋肉)の筋膜」です。
これらは、座り姿勢や同じ姿勢を続けることで「伸ばされっぱなし」または「同じ長さで固定されたまま」になり、やがて 縮む動きができなくなる のです。

そのため、ときには「えびぞり」のように腰を反らして縮める動きを取り入れることも大切。
ただし、筋膜が厚く硬くなっている(肥厚や線維化がある)場合は、縮める動きが難しいこともあります。
その際は、まず硬さをゆるめるケアをしてから行うのが安全です。

一般的なストレッチは「ひとつの筋肉」を狙って行うのが主流です。
でも、ファシア(筋膜)を意識すると、実は 筋肉同士のつながり=連動 を大切にすることがカギなのです。

まとめ:腰痛改善のための筋膜ストレッチのポイント

  • ストレッチは腰痛に一定の効果があるが、筋膜を意識すると根本改善につながる
  • 筋膜が 肥厚・線維化 すると、ストレッチだけではほぐれにくい
  • 筋膜には「非ニュートン流体」という性質があり、👉 強い衝撃で硬くなるため、ストレッチは ゆっくり・じわ〜っと 行うのが大切
  • 腰だけでなく、全身のつながり(連動)を意識 することが重要
  • ストレッチで改善しない腰痛は、筋膜の硬さが原因の可能性がある👉 イメージは「歯磨きで落ちない歯垢を、専門のケアで取り除く」感覚

拝志フィジカルセラピー ファシアラボ は、20年前から筋膜に着目した専門施術を提供
👉 慢性的な腰痛でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

拝志陽介
拝志陽介拝志フィジカルセラピー代表
私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。