マッサージで腰痛が治らない本当の理由 とは?

なぜマッサージだけでは腰痛が良くならないのか?

「マッサージに通っているのに、腰痛がすぐ戻ってしまう」
こんな経験はありませんか?

マッサージは筋肉のこわばりを和らげ、一時的に血流を良くする効果があります。しかし、それだけでは腰痛の根本的な原因を解決できないことが多いのです。特に、最近注目されているのが「筋膜(ファシア)」の問題です。まずは筋膜(ファシア)とは何か?

筋膜(ファシア)とは?腰痛との深い関わり

筋膜とは、ファシア(体を包む膜組織)の一部で、筋肉を包んでいる薄い膜のことです。
ただしファシア自体は、筋肉だけでなく、骨や内臓、血管、神経まで全身をつなぎ、体を支える“ボディスーツ”のような存在でもあります。

健康な筋膜は柔らかく滑らかに動きますが、長時間同じ姿勢を続けたり、運動不足が続くと硬くなってしまいます。
筋膜は神経が豊富なため、硬くなると 「不快感」や「痛み」 として体にサインを送ってくれるのです。そのために腰痛との深い関わりがあります。それはなぜかを細かく説明していきます。

筋膜の「線維化」が腰痛を悪化させる

腰痛で特に問題になるのが、筋膜の「線維化」です。

線維化とは、本来はしなやかで柔らかい組織に、硬い繊維成分(コラーゲンなど)が過剰にたまってしまい、硬くなった状態を指します。負担が多い場所に起こります。
イメージしやすい例でいえば、皮膚の傷が治ったあとに盛り上がって残る「瘢痕(はんこん)」も線維化の一種です。

筋膜が線維化すると、次のようなトラブルを引き起こします。

  • 痛みが出やすくなる:硬くなった筋膜は水分を失いやすく、血流や代謝が悪くなることで神経が敏感になり、痛みを感じやすくなる
  • 動きが悪くなる:筋膜どうしが滑らかに動かなくなり、関節や筋肉の動きが制限されてしまう
  • 姿勢が崩れる:筋膜は全身でつながっているため、一部が硬くなると全体のバランスが崩れ、姿勢のゆがみにつながる

つまり、腰痛が慢性化する背景には「筋膜の線維化」が隠れていることが多いのです。。

筋膜が線維化する原因とは?

では、なぜ筋膜は線維化してしまうのでしょうか。考えられる主な原因は次のとおりです。

  1. 同じ姿勢や負担の繰り返し
     長時間のデスクワーク、スマホの見すぎ、過度な運動などで筋膜に負荷がかかり続けると、修復反応が過剰になり硬くなります。
  2. 炎症の影響
     体内の炎症反応によって、筋膜を作り変える細胞が過剰に働き、コラーゲンが増えすぎてしまいます。
  3. 水分不足と癒着
     筋膜は水分をたっぷり含んでいるのが正常です。しかし、脱水や血流不足で水分が減ると、滑りが悪くなり癒着が起こりやすくなります。
  4. ストレスによる交感神経優位状態
    筋膜には自律神経が深く関わっています。ストレスが強いと「交感神経」が優位になり、体は常に緊張モードになります。(交感神経優位=闘う準備のスイッチが入った状態)

    その結果、筋膜の緊張も強まり、硬さやこわばりを感じやすくなるのです。

こうした要因が積み重なることで、マッサージではほぐれにくい「しつこい腰痛」が生まれてしまうのです。

マッサージと筋膜ケアの違い

正直なところ、手の使い方や触れ方そのものに大きな違いはありません。
違いがあるのは、施術者がどこに重きを置いているか です。

マッサージにもさまざまな目的があります。ですから「マッサージが良い・悪い」という話ではありません。

ただし、筋膜の概念を理解して施術を行うかどうかで、手技の内容や結果は変わってきます。
言い換えると、「たまたま緩和しただけの手技」なのか、 それとも 「筋膜を狙って働きかけている手技」なのか に違いが出てくるのです。

筋膜ケアによる根本改善法

ここからは、筋膜の線維化にアプローチする具体的な方法 をご紹介します。


1. 筋膜リリース

専門家による手技や、グラストン(専用の器具を使った施術)、マイオセラピー(振動による治療法)などを用いて、筋膜の癒着をやさしくほぐします。
大切なのは「強く押すこと」ではなく、ファシア(筋膜)を狙ったアプローチ です。
経験を持つ施術者による専門的なケアが効果的です。


2. 水分補給

シンプルですが、とても重要です。筋膜の柔らかさを保つためには水分が欠かせません。意外に脱水の方が多いかもしれません。
コーヒーやお茶ばかりで水を飲まない方は、意外と脱水になっていることが多いです。
こまめに水を飲む習慣 をつけることが、腰痛予防にもつながります。


3. 適度な運動・ストレッチ・セルフケア

ウォーキングや軽いストレッチ、テニスボールを使ったセルフケアは、筋膜を柔軟に保つ効果があります。
質の良い筋膜はスポンジのように水(ヒアルロン酸)を含み、筋肉同士の動きをスムーズにします。
ポイントは 「無理せず、毎日少しずつ続けること」。これが一番の近道です。

まとめ:腰痛改善は筋膜へのアプローチがカギ

腰痛が根強く残る背景には「筋膜の線維化」が潜んでいることがあります。

  • 筋膜が硬くなると痛みや凝りが起こる。
  • 線維化の原因は、姿勢の崩れ・炎症・水分不足・ストレス交感神経優位の影響
  • 改善には筋膜ケアや水分補給、ストレッチなどのセルフケアが有効

腰痛を根本から改善したい方は、筋膜への正しいアプローチを取り入れてみてください。きっと「今までのマッサージでは取れなかった腰の重さ」が軽くなるはずです。


拝志フィジカルセラピー ファシアラボ は、20年前から筋膜に着目した専門施術を提供

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投稿者プロフィール

拝志陽介
拝志陽介拝志フィジカルセラピー代表
私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。