姿勢と筋膜の深い関係 姿勢が悪いから腰や肩こりになるのか?
姿勢の崩れが腰痛や肩こりの原因です。
人にかかる重力の負荷は姿勢によって変わってきます。
そのために姿勢が重要な要素です。
しかし「気づくと背中が丸まって猫背になっている」「腰が反りすぎて疲れる」――
こうした姿勢の悩みは多くの方が抱えています。
一般的には「筋力不足」や「骨格の歪み」と言われますが、実はその背景にあるのが**筋膜(ファシア)**
ファシア(筋膜)はその使われ方によって順応し、形態を変化させていきます。
癖がついてしまうことで、バランスが崩れて姿勢不良につながります。さらに最新の考え方では、筋膜の持つ特性Tensegrity(テンセグリティ)構造という概念で説明することができます。
筋膜とTensegrity(テンセグリティ)の関係
「Tensegrity(テンセグリティ)」とは、**引っ張る力(張力)と押す力(圧縮)**のバランスで全体が安定する構造のことです。もともとは建築やデザインで使われる考え方ですが、実は人の身体にもあてはまります。
- 骨は支柱ではなく“浮いている”存在
人の骨は、家の柱のように自力で立っているわけではありません。筋膜や靭帯、腱といった「張力ネットワーク」によって“吊るされる”ことで安定しています。 - 筋膜が力を全身に分散する
たとえば足首をひねった場合、その負担は足首だけにとどまらず、筋膜を通じて全身に伝わります。結果的に首や肩の不調につながることもあります。 - 部分ではなく全体が反応する仕組み
腰や肩の痛みは、その部位だけの問題ではなく、全身の張力バランスが崩れた結果として現れるのです。
つまり、筋膜は「部分的な補強材」ではなく、身体全体を支えるネットワーク。だからこそ、局所の痛みを改善するためには、その部分だけでなく全身を整えることが重要になるのです。
身体の仕組みを「テント」や「吊り橋」にたとえると分かりやすいです。
- 骨はテントのポールや吊り橋の橋げたのようなものです。
- 筋膜や靭帯はロープやワイヤーにあたり、全体をピンと張って支えています。
テントの布(皮膚や筋膜)だけでは立ちません。布は大事ですが、それ単体で形を維持できるわけではなく、ポール(骨)とロープ(筋膜)が組み合わさることで安定するのです。
だから身体全体がテントのように張力と圧縮のバランスで成り立っていると考えるのが正しい理解です。

猫背と筋膜のつながり
猫背の原因は、単に背中の筋力が弱いからではありません。
長時間のデスクワークやスマホ操作で首や背中の筋膜が硬くなり、その部分に張力(引っ張られる力)がかかり続けることで姿勢が変化し、やがてそのまま固定されてしまいます。
この状態が長く続くと、関節や骨にも影響が出て、いわゆる「変形性◯◯症」といった状態にまで進行することもあります。
筋膜が硬くなると背骨は後ろに引っ張られ、自然に背中が丸まっていきます。さらに胸の筋膜も縮むため、呼吸が浅くなり、疲労感や肩こりを強く感じやすくなります。
Tensegrity(テンセグリティ)の視点から見ると、猫背は背中だけの問題ではなく、胸・首・腰といった全身の張力バランスが崩れた結果として現れています。そのため、背中だけを矯正しても本当の意味での改善にはつながらないのです。

反り腰と筋膜のつながり
反り腰も筋膜の影響を強く受けます。腰の前側(お腹や太ももの付け根)の筋膜が硬くなると、骨盤が前に傾き、腰が反った状態で固まってしまいます。
この姿勢では腰の筋肉や関節に大きな負担がかかり、慢性的な腰痛につながります。
Tensegrityモデルで考えると、腰だけでなく足・骨盤・背中すべての張力の乱れが原因。1箇所を揉むだけでは解決しない理由がここにあります。

まとめ:筋膜ケアで姿勢は根本から変わる
筋膜は全身をつないでいるネットワークであり、体を支える仕組み(テンセグリティ)に大きく関わっています。
猫背や反り腰といった姿勢の乱れは、実は筋肉の弱さだけでなく、**筋膜の張力バランスが崩れていること(長年の体の使い方の癖)**が原因になることも多いのです。
そのため、一部分だけをほぐすのではなく、**全身をトータルで整える「ファシア(筋膜)ケア」**が根本的な改善につながります。
姿勢が整うことは、見た目が美しくなるだけでなく、腰痛や肩こりの予防・改善にもつながり、体全体が楽に動かせるようになります。
神谷町の筋膜ケア専門院【拝志フィジカルセラピー ファシアラボ】では、猫背や反り腰をはじめ、慢性的な不調を筋膜ケアで改善します。慢性的で改善しない方、ぜひ一度ご相談ください。
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投稿者プロフィール

- 拝志フィジカルセラピー代表
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私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。