自律神経の乱れ 「ファシア(筋膜)と不調の関係」
なぜ「痛みや凝り」が自律神経の乱れにつながるのか?
「肩こりが続いて眠れない」「腰痛がひどくてイライラする」そんな経験はありませんか?
実は、体の痛みや凝りは単なる筋肉の問題ではなく、自律神経の働きにも大きく影響します。
自律神経とは、呼吸・血流・消化・体温調整などを無意識にコントロールしてくれる神経です。
この自律神経のバランスが崩れると、頭痛、不眠、めまい、動悸、消化不良などの不調につながります。
では、なぜ自律神経が乱れるのでしょうか? そのカギを握るのが「ファシア(筋膜)」です。
※便宜上「ファシア(筋膜)」と書いていますが、正確にはファシアが大きな概念で、その一部が筋膜です。
ファシア(筋膜)は「さまざまな細胞の部屋」
**ファシア(筋膜)**とは、筋肉や骨、内臓、血管、神経などを全身でつないでいる薄い膜のことです。
鶏肉の皮をめくったときに出てくる「白い膜」をイメージすると分かりやすいでしょう。

最近の研究で、このファシアの中に神経が埋め込まれていることがわかってきました。
- 脳は「硬膜」というファシアに包まれている
- 脊髄も硬膜で守られている
- 手足へ伸びる神経(末梢神経)もファシアの膜に包まれている
つまり、ファシアは神経を包み込む部屋のような存在で、体の感覚や自律神経の働きと深くつながっているのです。
自律神経とファシアの深い関係
ファシアは単なる膜ではなく、自律神経が集まる場所でもあります。
特に「交感神経」と「副交感神経」がファシアの中に分布し、体のバランスを調整しています。
- 交感神経:活動・緊張・ストレスに働く(例:仕事中や運動時)
- 副交感神経:休息・回復・リラックスに働く(例:睡眠や食後の安らぎ)
このバランスが崩れると、体は「休むべき時に休めない」「動くべき時に動けない」という状態になり、不調が現れるのです。
少し専門的ですが、下は詳しく知りたい方向けの情報です。
ファシアの自律神経との構造的・機能的つながり
- ファシアは高度に神経支配され、血管やリンパ管、ホルモン・神経伝達物質受容体を豊富に含む組織で、自律神経系と深く結びついています。これは「身体のウォッチマン」として機能する可能性があるとされます 。
- 特に表在性ファシアでは、血管が複雑に張り巡らされ、自律神経(交感神経)による血管収縮・拡張の調整機構が認められます 。
- また、ファシアは全身を覆う感覚器としての役割も果たし、姿勢や動きだけでなく、自律神経の調整にも影響を及ぼします 。
皮膚の下にある「感覚のセンサー」
さらに面白いのは、皮膚のすぐ下のファシアには「シュワン細胞(神経を保護し、信号を助ける細胞)」が存在することです。
ここが深い圧迫やつまみ刺激を受けると、「自由神経終末(痛みや温度などを感じるセンサー)」へ信号を送ります。
このセンサーは「体のアンテナ」のようなもので、
- 痛み
- 温度
- 圧力
などを感じ取り、脳に伝えています。
結果として、体の状態を「内受容感覚(体の内側の調子を感じ取る感覚)」として脳に届けるのです。
「寒い」「暑い」「疲れた」「不安だ」といった体の感覚が、そのまま感情につながっていきます。

感覚はいつも「感情」とセット
私たちが感じる体の感覚は、必ず「記憶」や「連想」と結びついています。
例えば、同じ「寒さ」を感じても、
- 「やっと涼しくなって嬉しい」と思う人もいれば
- 「寒くてつらい」と感じる人もいます。
これは過去の経験や感情が、体の感覚に影響を与えているからです。
過去に雷雨で怖い思いをした人は、雷の音だけで不安やパニックを起こすことがあります。
こうした感覚と感情の結びつきも、実はファシアを通じて調整されているのです。
不安やストレスもファシアを通じて広がる
ファシアは「通信の河」とよく表現されますが、もっと身近に言うと「体の中を走る情報の高速道路」です。
神経だけでなく、ホルモン、炎症を起こす物質、免疫を働かせる分子など、体内の情報伝達の多くはファシアを通って行われます。
つまりファシアは「神経系」「免疫系」「ホルモン系」をつなぐ巨大なネットワーク。
体のどの器官よりも広い面積を持ち、なんと眼の網膜よりも多くの感覚センサーを備えているのです。
慢性腰痛や背中の凝りを改善するには?
ここまで読むと「じゃあ痛みや不調を改善するにはどうすればいいの?」と思う方もいるでしょう。
答えはシンプルで、「ファシアを整えること」です。
- 長時間同じ姿勢を避ける
- 深い呼吸(例:5秒かけて吸って、5秒かけて吐く)で副交感神経を働かせる
- 軽いストレッチやセルフマッサージでファシアをゆるめる
- 専門家による**ファシアリリース(筋膜をやさしく解放する施術)**を受ける
こうした取り組みでファシアが柔軟になり、神経や血流の働きがスムーズになって、自律神経のバランスも回復していきます。
まとめ:ファシアは「体と心のセンサー」
痛みや凝りは、単なる筋肉の疲れではなく、ファシアを介して自律神経の乱れにつながります。
ファシアは体と心をつなぐセンサーであり、ここをケアすることで
- 慢性腰痛の改善
- 背中の凝りの解消
- 自律神経の安定
へとつながるのです。
神谷町の拝志フィジカルセラピー ファシアラボでは、ファシアケアを専門に行い、慢性腰痛や背中の凝りだけでなく、自律神経の乱れからくる不調改善もサポートしています。
「原因がわからない不調に悩んでいる」そんな方こそ、ぜひファシアケアを体験してみてください。
病院では原因不明だった「めまいや吐き気が改善したケース」もあります。
ファシアが硬く、不快な信号を身体に伝えている状態が続けば、「不快」→「自律神経乱れる」実は簡単な摂理です。軽い痛みや凝りを放っておいては体調が良くなりません。
拝志フィジカルセラピー ファシアラボは、20年前から筋膜に注目し、慢性腰痛改善に特化した施術を行っています。
「その場しのぎではなく根本改善を」――そうお考えの方は、ぜひ私たちにご相談ください。
投稿者プロフィール

- 拝志フィジカルセラピー代表
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私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。






