ファシア(筋膜)の歴史と今 ― なぜ注目されるようになったのか?
はじめに
こんにちは。神谷町の筋膜ケア専門院【拝志フィジカルセラピー ファシアラボ】です。
最近はテレビや雑誌でも「筋膜リリース」という言葉をよく耳にするようになりました。でも「ファシア(筋膜)ってそもそも何?」「昔から知られていたの?」と疑問に思う方も多いと思います。
今回は、ファシアがどのように扱われてきたのか、その歴史と、今なぜ注目されているのかをわかりやすくご紹介します。
昔の解剖学では「ただの膜」だった
ファシアは、筋肉や骨、内臓を包んでいる白い膜のような組織です。実は古代ギリシャの医師ヒポクラテスや、ローマのガレノスの時代から知られていました。
ところが当時の医学では「筋肉や骨が主役」であり、ファシアは“包み紙”のように考えられていたのです。解剖学の授業でも「取り除くもの」として扱われ、役割を深く調べることはほとんどありませんでした。

20世紀になっても軽視されていた
医学が発展しても、長い間ファシアは「ただのつなぎ」くらいの存在でした。筋肉や神経に比べて地味で、研究の対象にされにくかったのです。
ところが体を整えるためのオステオパシーやロルフィングといった手技療法の分野では、「全身をつなぐ膜」として注目され始めました。人の体を部分でなく“全体”で見ようとしたとき、ファシアの重要さが少しずつ気づかれてきたのです。
筋膜リリースの広がり
1980年代になると、アメリカの理学療法士ジョン・F・バーンズ氏が「マイオファッシャル・リリース(筋膜リリース)」を提唱しました。

ちなみに私はジョン・F・バーンズ氏の技術はもちろん思想も吸収し、実践しております。尊敬する方のひとりです。すいません、話を戻しましょう。
「痛みや不調の根本には筋膜の硬さや癒着がある」
という考えは、多くの臨床家に支持され、世界中に広がりました。
日本でも「筋膜リリース」という言葉はすっかり浸透し、肩こりや腰痛の改善法として耳にしたことがある方も多いと思います。
現在の研究でわかったこと
2007年、アメリカ・ハーバード大学で「国際筋膜会議」が開かれました。ここからファシア研究は一気に進み、世界中の科学者が「ファシアは身体の健康にとても大切な組織」だと発表するようになりました。
研究からわかってきたこと
- ファシアは全身をネットワークのようにつないでいる
- 神経が豊富に分布しており、痛みや不快感と関わっている
- 水分を含みやすく、滑らかに動くことで健康を支えている
- 硬くなったり癒着したりすると、動きや血流が悪くなる
つまり、ファシアは“ただの膜”ではなく、身体を支え、守り、動かすための重要な組織なのです。
臨床の現場での変化
最近では整形外科やリハビリの分野でも、ファシアが痛みの原因になることが認められています。さらに、整体・マッサージ・鍼灸・ヨガ・スポーツトレーニングなど、幅広い分野で「筋膜ケア」が導入されています。MRIやエコーでファシアの動きを可視化する研究も進み、「科学的に説明できる時代」に入っています。
まとめ
- 昔は「邪魔な膜」として軽視されていたファシア
- 今では「身体をつなぐネットワーク」として大注目
- 慢性的な腰痛や肩こりの原因に深く関わっている
私たちの身体には「ファシアがない場所はない」と言えるほど、全身を覆っています。そのファシアが柔らかく整っていることが、健康の土台になるのです。
当院【拝志フィジカルセラピー ファシアラボ】では、このファシアに特化した施術で、慢性的な痛みや凝りの根本改善を目指しています。
そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
投稿者プロフィール

- 拝志フィジカルセラピー代表
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私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。






