「全体を整えれば、自然に治る」が当てはまらないとき。
第3章・第1話 だからこの治療をする局所と全体、介入の順番について
姿勢を直せば治る。体幹を鍛えれば治る。全体のバランスを整えれば自然に良くなる——そういうアドバイスを受けたことのある方は多いと思います。それは間違いではありません。ただ、当てはまらないケースがある、という話をしたいと思います。
慢性腰痛の方に施術をしていると、すでにいろいろな場所に行かれているケースが少なくありません。整体、ストレッチ、体幹トレーニング、姿勢矯正。それぞれ丁寧に対応してもらったけれど、なぜか症状が戻ってくる。
その理由の一つに、「実際に痛みを出している局所が、まだ残っている」ということがあります。
全体を整えても、局所が残れば戻る
姿勢や動作のバランスを整えることは、確かに重要です。なぜその部位に負担が集中したのかという背景を見ることは、再発予防には欠かせない。
ただ、筋膜の固定化や組織の質の変化が強く残っている状態では、全体を整えるだけでは局所の問題が解消されないことがあります。表面上のバランスは改善されても、実際に痛みを出している組織がそのままであれば、また同じ場所に症状が出やすくなる。
「治っては戻る」を繰り返している方の身体を触診すると、特定の局所に強い固定化や過敏さが残っていることが多いです。そこに届いていないまま、全体だけを調整し続けている状態です。
介入には順番がある、と私は考えています。
まず局所の質を整える。
そのうえで、全体とのつながりや背景要因を見ていく。

「痛い場所は触らない」という考え方について
「患部は触らない方がよい」という考え方があります。痛みのある場所を刺激すると悪化する、という懸念からです。その考え方が正しいケースもあります。
ただ、一律に患部を避けることが、必ずしも正解ではないとも考えています。
実際に痛みを出している組織が、長期間にわたって固定化・過敏化している場合、その局所に適切な形で介入することが、改善のきっかけになることがあります。患部を刺激するためではなく、回復しにくくなっている組織に変化のきっかけを与えるためです。
「患部を触るか触らないか」ではなく、「今その患部に何が必要か」を見極めることが重要だと考えています。そのための触診であり、そのための施術です。
局所から始めて、全体へ
当院では、まず触診によって実際に症状に関与している局所を丁寧に見極めます。そこに必要な介入を行い、組織の状態が変化してから、姿勢や動作、生活習慣といった全体の背景を整えていく、という順序を大切にしています。
局所だけを見ていれば十分とは考えていません。なぜその場所に負担が集中したのかまで見ていかなければ、また同じことが起きます。ただ、局所の問題が残ったまま全体だけを整えても、症状は戻りやすい。だから、順番が重要なのです。
次回は、施術の「強さ」より「見極めと届け方の精度」が重要な理由について書きます。
拝志フィジカルセラピー ファシアラボ 院長 拝志(神谷町・虎ノ門)
慢性腰痛や背中の凝りを根本から改善したい方は、神谷町駅徒歩1分のファシアラボへ
← 前の話 腰痛の原因が「筋肉でも骨でもない」ことがある、という話。
次の話 → 痛みがなくなることが、ゴールではない理由。
第1章「なぜ治らないのか」
第2章「痛みの正体は筋膜」
第3章「だからこの治療をする」
第4章「改善とは痛みを消すことじゃない」
第5章「それでも力になりたい人がいる」
投稿者プロフィール

- 拝志フィジカルセラピー代表
-
私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。
最新の投稿
その腰痛、まだ諦めないでほしい。2026年3月31日どこへ行っても良くならない、という経験をした人へ。
その腰痛、まだ諦めないでほしい。2026年3月30日痛みがなくなることが、ゴールではない理由。
その腰痛、まだ諦めないでほしい。2026年3月27日施術の「強さ」より、大切なことがあります。
その腰痛、まだ諦めないでほしい。2026年3月26日「全体を整えれば、自然に治る」が当てはまらないとき。



