施術の「強さ」より、大切なことがあります。

第3章・第2話 だからこの治療をする

見極めと届け方の精度について

「強い施術の方が効く」「優しい施術の方が身体に良い」——どちらも、単純には正しくないと思っています。今回は、当院が施術において本当に大切にしていることについて書きます。

施術を受けた翌日に、ひどい揉み返しが出たことはありますか。あるいは、優しく触れてもらったけれど、あまり変化を感じられなかったという経験はあるでしょうか。

どちらも、「強さ」の問題ではないことが多い。問題は、その身体に対して、何が、どこに、どのように届いているか、という精度の問題です。

「優しい=効果的」ではない理由

私も臨床家として試行錯誤してきました。タッチの優しい治療は神経を過敏にしてしまったり、もみ返しなどの身体へかける負荷が限りなく少ないと思います。
ただ、症状のバリエーションは多く存在しています。

優しい治療が良い、刺激が強い治療が悪いなどという話ではなく、その人にとって必要な刺激が存在していると私は考えているということです。

慢性腰痛において、筋膜の線維化や固定化が強く進行しているケースがあります。こういった状態では、ゆっくり圧をかけて待つだけでは、組織に変化が起きないことがあります。刺激が不足しているのです。

他の施術を続けてきたけれど改善しない、という方が来院されることがあります。その施術が悪いわけではない。ただ、その方の組織の状態に対して、届いている刺激が足りていなかった場合があります。

「強い=効果的」でもない理由

一方で、強い刺激が必ずしも変化を生むわけでもありません。

必要以上に強い刺激は、組織を過敏にさせることがあります。揉み返しが起きるのは、身体が「刺激が多すぎた」と反応しているサインです。
(ただし、揉み返しが悪いと言っているわけではありません。ここも程度の問題があります。)

慢性腰痛の方の身体は、すでに過敏になっている部位を抱えていることが多く、そこに強い刺激を入れることで、かえって症状が悪化するケースもあります。

施術の本質は「強さ」ではなく、
見極めと届け方の精度にある。

必要な場所に、必要なだけ、できるだけ負担なく届ける。

振動器具施術(マイオセラピー)という選択について

当院では、マイオセラピーという道具を使用した施術を治療の主軸の一つとして使っています。「機械を使う=雑・危険」と感じる方もいるかもしれません。
見た目だけで判断するのは、人間だから普通のことです。

だからこそ、しっかりと伝えないといけないと思っています。
この治療が与える人への影響を自身の身をもって感じ、良い面だけを見るのではなく、提供しています。

マイオセラピーは私にとって「手の延長」です。硬く固定化した組織に手技だけで変化を起こそうとすると、どうしても圧が強くなり、揉み返しや痛みにつながることがある。
機械を使うことで、必要な刺激量を、再現性高く、身体への負担を抑えながら届けられる場面があります。

例えば、マイオセラピーの機械は、強い刺激を与えるためではなく、必要な場所に必要な力を無駄なく届けるための道具です。落ち葉を集めるときも、柔らかすぎるほうきでは力が逃げますが、竹ぼうきなら軽い力で集められます。

それと同じように、身体に余計な負担をかけず、適切な刺激を入れて、整いやすい状態へ導くために使っています。
見た目で驚かれることもありますが、根底にあるのは「傷つけないこと」です。

手技と機械施術は、好みで使い分けているのではありません。部位の過敏性、組織の状態、その日の身体の反応を見ながら、どちらがより適切かを判断しています。大切なのは、手か機械かではなく、その身体にとって何が最も必要かです。

次回は、痛みをなくすことだけがゴールではない理由——改善の本質について書きます。

拝志フィジカルセラピー ファシアラボ 院長 拝志 神谷町・虎ノ門

慢性腰痛や背中の凝りを根本から改善したい方は、神谷町駅徒歩1分のファシアラボ

← 前の話 「全体を整えれば、自然に治る」が当てはまらないとき。

次の話 → 痛みをなくすことが、ゴールではない理由

シリーズ
「その腰痛、まだ諦めないでほしい。」

第1章「なぜ治らないのか」

第2章「痛みの正体は筋膜」

第3章「だからこの治療をする」

第4章「改善とは痛みを消すことじゃない」

第5章「それでも力になりたい人がいる」

投稿者プロフィール

拝志陽介
拝志陽介拝志フィジカルセラピー代表
私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。