なぜストレスが続くと、身体は固まっていくのか?  ― 筋肉ではなく「ファシア」の話


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こんにちは。神谷町の筋膜ケア専門院【拝志フィジカルセラピー ファシアラボ】です。

今回はなぜストレスが続くと身体がだんだん固まっていくのか
その理由を 筋肉ではなく ファシア 筋膜 の視点からお話しします。

慢性腰痛や背中の凝りで悩んでいる方の多くが
運動もストレッチもしているのに
なぜか良くならない
むしろ最近は身体が硬くなってきた気がする
と感じています。

その背景には
ゲル化と自律神経トーン
という とても大切な関係があります。

痛みや硬さの正体は 筋肉だけではありません

慢性的な腰痛や背中の凝りの多くは
筋肉や骨そのものではなく
その周囲を包み 全身をつないでいるファシアの状態に原因がある
私たちはそう考えています。

レントゲンやMRIでは異常が見つからない
年齢のせいと言われた
原因不明と診断された
そういったケースの中に
ファシアの状態異常が見逃されていることは珍しくありません。

痛みは排除すべき敵ではなく
身体が発している大切なサインです。

そもそも ゲル化とは何か

世界のファシア研究では
ゲル化とは
コラーゲンが固くなった状態ではなく
ヒアルロン酸という潤滑成分が高粘度化した状態
と定義されています。

この考え方は
Carla Stecco
らの研究で繰り返し示されています。

ゲル化したファシアでは
水分はあるのに動けない
層と層の滑りが失われる
張力が一部に集中する
神経が刺激されやすくなる
といった変化が起こります。

つまり
固いというより 流れなくなっている
この表現がとても近い状態です。

↑ゲル状(脱水:ゼリー状)
↑ゾル状(サラサラ)

自律神経トーンとは何か

自律神経トーンとは
その人の身体が
戦うモードなのか
それとも 回復モードなのか
その土台となる状態のことです。

交感神経が優位な状態では
緊張し
守りに入り
身体は常に構えた状態になります。

副交感神経が優位な状態では
血流が良くなり
循環が起こり
修復と回復が進みます。

この切り替えが
ファシアの状態を大きく左右します。

なぜ交感神経優位だと ゲル化が進むのか

ここが今回の一番大切なポイントです。

血流と循環が落ちる

ストレスが続くと
交感神経が優位になり
血管が収縮します。

その結果
毛細血管の流れが落ち
組織の中の水分や潤滑成分が循環しにくくなります。

ヒアルロン酸は
動いて 交換されて はじめて流動性を保てます。

動かず 流れず 洗い流されない状態が続くと
粘度が上がり ゲル化が進みます。

組織の温度が下がる

ヒアルロン酸は温度の影響を強く受けます。

冷えると粘りが増し
温まるとサラッとします。

交感神経優位の状態では
末梢の体温が下がりやすく
ファシアは冷え
さらに流れにくくなります。

無意識の持続的な緊張

ストレス下では
本人が気づかないうちに
腰や背中 肩周りに
小さな力が入り続けます。

これは動いているようで
実は動いていない状態です。

動かないまま張られる
これが ゲル化を最も起こしやすい条件です。

神経が過敏になる

ファシアには
痛みや違和感を感じ取る神経が豊富に存在します。

Robert Schleip
らの研究でも
ファシアは筋肉以上に感覚的な組織であることが示されています。

交感神経優位が続くと
神経の感度が上がり
少しの刺激でも痛みとして感じやすくなります。

ゲル化と神経過敏は
セットで進行することが多いのです。

ゲル化は 異常ではなく 身体の安全戦略

ここで 見方を少し変えてみてください。

ゲル化は
壊れた結果ではありません。

これ以上動かすと危険だ
今は守った方がいい
身体がそう判断した結果です。

張力を固定し
動きを制限し
感覚を鋭くする。

防御反応としては
とても理にかなった選択なのです。

だから ストレッチでは戻らないことが多い

ストレッチは
張力を加え
刺激が強くなりやすく
交感神経を刺激しやすい方法です。

ゲル化が起きている状態では
解除条件と逆の刺激になってしまうことがあります。

伸ばしているのに
なぜか余計に硬くなる
そんな経験がある方は
この仕組みが関係しているかもしれません。

ゲル化がほどけるとき 身体に起きる変化

臨床の現場では
次のような変化がよく見られます。

呼吸が自然に深くなる
身体がポカポカしてくる
眠くなる
効いた感じがあまりしない
翌日以降に楽さを実感する

これらは
副交感神経トーンに切り替わったサインです。

ゲル化を解除する条件は 自律神経の条件

世界の研究と臨床をまとめると
ゲル化がほどけていく条件はとても共通しています。

強すぎない刺激
ある程度の時間
ゆっくりとした圧やずらし
温かさ
安心できる感覚
呼吸の変化

これらは
John F. Barnes
マイオファッシャルリリース理論とも一致しています。

臨床的にとても大切なこと

ゲル化したファシアを変えたいなら
まず 自律神経トーンを変える必要があります。

順番を間違えると
強い刺激
力任せの施術
ゴリゴリとしたアプローチになり
かえってゲル化が固定されてしまうこともあります。

まとめ

ファシアのゲル化は
使っていないから起こるのではありません。

緊張し続け
守り続けた結果として起こります。

だから必要なのは
伸ばすことでも
鍛えることでもなく
もう守らなくていいと
身体が判断できる状態をつくることです。

自律神経トーンが切り替わったとき
ファシアは静かに
しかし確実に変わり始めます。

慢性腰痛や背中の凝りを根本から改善したい方は
神谷町駅徒歩1分のファシアラボ

投稿者プロフィール

拝志陽介
拝志陽介拝志フィジカルセラピー代表
私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。