腰痛が夜間にひどくなるのはなぜ?寝具や寝方は関係するか?

こんにちは。神谷町の筋膜ケア専門院【拝志フィジカルセラピー ファシアラボ】です。

「昼間は平気なのに、夜になると腰が痛くて眠れない」「寝返りを打つたびに痛みで目が覚める」——そんなお悩みはありませんか?


実は、夜間に痛みが強くなるのは“筋膜(ファシア)”の性質と、寝方・寝具の影響が深く関係しています。
今回は、夜間に腰痛が悪化する理由と対処法についてわかりやすくお話しします。

1. なぜ「夜になると痛みが強くなる」のか?

▶① 筋膜が「冷えと静止」で硬くなる

日中は立ったり歩いたりして、体温が上がり、血液の流れも活発になります。
ところが、夜になって動かなくなると体が冷え、筋膜の温度や水分量、弾力が下がってしまうのです。

筋膜(ファシア)は「非ニュートン性の流体」といって、温度が下がると粘度(ねばり気)が増す性質があります。
つまり、冷えてしまうと筋膜は“ゼリーのように固まり”、動きが悪くなります。

そのため、寝返りなどのわずかな動きでも「ピキッ」「ズキン」と痛みを感じやすくなるのです。

水分(ヒアルロン酸)が少なくなり粘り気が強くなります

▶② 睡眠時の固定による局所的な循環低下

寝ている間は長時間同じ姿勢が続きます。
その状態では、腰やお尻、背中の筋膜に圧がかかり続け、血液やリンパの流れが滞りやすくなります。

「固定化されることによって症状が出やすくなります。」

それに、血流が減ると酸素が足りなくなり、老廃物がたまりやすくなります。
これが、夜に感じる「重だるさ」や「鈍い痛み」「ピリピリ感」の正体です。

▶③ 自律神経のバランスの乱れ

夜は本来、副交感神経が働き、体がリラックスして回復に向かう時間です。
ところが、筋膜がこわばっていると、体は“警戒モード(交感神経優位)”から抜け出せません。

その結果、

  • 血流が戻りにくい
  • 筋膜の修復が遅れる
  • 痛みを感じやすくなる
    といった悪循環が生まれます。

つまり、「夜になると痛い」のは、筋膜の冷え・固定化・自律神経の乱れが重なって起きているサインなのです。

2. 寝具や寝方は関係あるのか?

▶① マットレスの硬さ

寝具の硬さは、夜間の腰痛に大きく影響します。
実際の臨床でも、「マットレスを変えただけで夜の痛みが軽くなった」という方は少なくありません。

🔸硬すぎるマットレスの場合

身体が十分に沈まず、寝具の硬さをダイレクトに受けてしまいます。
その結果、腰の自然なカーブが保てず、背中や腰まわりの筋膜に強い圧や張力がかかる状態になります。
特に、痩せ型の方や筋肉の緊張が強い方は、その影響を受けやすい傾向にあります。

🔸柔らかすぎるマットレスの場合

今度は、体が沈み込みすぎて骨盤が沈下し、腰が丸まった姿勢になります。
この姿勢では、腰まわりの筋膜が引き伸ばされたまま固定され、寝ている間じゅう“軽いストレッチ状態”が続くようなもの。
翌朝の腰の重さやこわばりにつながります。

🔸理想的なのは「中程度の硬さ」

最も理想的なのは、体重をやさしく分散しつつ、腰の自然なカーブを支えられる硬さです。
「仰向けで腰が沈み込みすぎず、横向きでも肩がつぶれない」寝具がベスト。
寝具選びのポイントは、“柔らかさ”ではなく“支えの質”を重視することです。

マットレスは体を包むものではなく、身体の形を正しく受け止める土台
自分に合った寝具を選ぶことが、夜間の腰痛を防ぐ第一歩になります。つぶれない」寝具を選びましょう。

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▶② 枕の高さ

枕が高すぎても低すぎても、首の負担が増加してしまいます。
特に横向きで寝る方は、頭と肩の高さ差をちょうど埋める程度が理想的。
このわずかなズレでも、筋膜の張力に影響が出てしまうのです。

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▶③ 寝返りの少なさ

筋膜は「動くことで潤う」組織です。
寝返りが少ない人ほど、筋膜が乾いて硬くなりやすい=痛みが出やすくなります。
もし朝起きたときに「同じ姿勢のまま」「体が重い」と感じる方は、
マットレスが寝返りを妨げていないか見直してみましょう。

3. 「夜間腰痛」への対応

筋膜リリースは、筋膜のすべりと血流を取り戻し、身体が自ら回復できる状態に導く施術です。
夜間の腰痛の背景には、まさにこの「筋膜の滑走低下と循環の滞り」があります。

▶ 3ステップアプローチ

  1. 深部の筋膜リリース
     背骨まわり(胸腰筋膜)やお尻の筋膜をじっくり緩め、圧迫・癒着を解消します。
  2. 温度と血流の改善
     施術中に深部の温度が上がり、リリース後も温かさが持続。
     筋膜が冷えにくくなり、夜間の痛みが軽減します。
  3. 呼吸とリラックスの再教育
     胸郭や横隔膜の筋膜を緩めることで、呼吸が深くなり、副交感神経(リラックス神経)が働きやすくなります。
     結果的に、**「夜に痛みを感じにくい体」**へと整っていきます。

4. 自宅でできるファシアケア&寝る前の工夫

施術に加えて、寝る前のちょっとしたケアを取り入れると効果的です。

就寝前の3分ケア

  • 腰やお尻を温める(ホットタオル・湯たんぽ)
     → 筋膜の粘りをやわらげ、血流を促進。
  • 深呼吸+軽いストレッチ
     → 背中〜お腹の筋膜がほぐれ、自律神経の切り替えがスムーズに。
  • 寝返りしやすい寝具配置
     → 枕や布団が体の動きを妨げないよう調整。

ほんの3分の準備でも、夜の腰のこわばりがやわらぎ、眠りの質が大きく変わります。

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5. まとめ ― 夜間腰痛は「筋膜からのサイン」

原因内容
冷え・静止筋膜の粘性上昇、すべり低下
圧迫・循環不良長時間同じ姿勢による血流低下
自律神経の乱れ交感神経優位で痛み感受性上昇
寝具・姿勢硬さ・高さ・沈み込みによる筋膜のねじれ

最後に ― 「痛みの夜」を「回復の夜」に変えるために

夜は本来、身体を修復する大切な時間です。
しかし筋膜が硬くなったままだと、その回復機能がうまく働かなくなってしまいます。

筋膜の治療により“筋膜自体の呼吸”を取り戻し、眠っている間に体が回復できる環境を整えます。

「夜になると痛い」から「夜に整う身体」へ。

それが、私たち【拝志フィジカルセラピー ファシアラボ】が目指すファシアケアの形です。
夜間の痛みにお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
あなたの身体は、まだ十分に変わる力を持っています。


慢性腰痛や背中の凝りを根本から改善したい方は、

神谷町駅徒歩1分のファシアラボ

直接ご予約できます。

投稿者プロフィール

拝志陽介
拝志陽介拝志フィジカルセラピー代表
私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。