ファシアを知るシリーズ なぜ筋膜の問題はこれほど難しいのか?

― 最新研究から見えてきた「現在地」―

こんにちは。
神谷町の筋膜ケア専門院【拝志フィジカルセラピー ファシアラボ】です。

慢性腰痛や背中の凝りで悩まれている方の中には、

  • レントゲンやMRIでは「異常なし」と言われた
  • マッサージでは一時的に楽になるが戻る
  • 手術をしても数年後に再発した

こうした経験をされている方も少なくありません。

なぜ筋膜(ファシア)の問題は、ここまで難しいのでしょうか?

今日は、世界の最新研究を踏まえながら、筋膜研究の「現在地」についてお話しします。

1. そもそも筋膜は「構造」ではなく「ネットワーク」

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アナトミートレイン(筋膜のつながり)

かつて筋膜は、
「筋肉を包むラップのような膜」と考えられていました。

しかし現在では、筋膜は全身を覆い、連続する三次元ネットワークであることが分かっています。

この概念を大きく広めたのが、筋膜解剖学者の
Thomas W. Myers
の提唱した“アナトミートレイン”です。

身体は部分ではなく、張力の連鎖(テンセグリティ構造)で成り立っている。

つまり、腰の痛みの原因が足部にあることも、
肩の痛みが胸郭や骨盤に由来することも珍しくないのです。

これがまず、難しさの第一歩です。

2. 「見えない」組織であるという難しさ

筋膜は非常に薄く、繊細な組織です。

従来のMRIやレントゲンでは、
微細な滑走障害や粘性変化を捉えることは困難です。

近年は高解像度超音波やエラストグラフィーにより、
筋膜の硬さや滑走性の研究が進んでいます。

特に注目されているのが、
Robert Schleip
らの研究です。

彼らは筋膜が単なる受動組織ではなく、

  • 神経終末が豊富に存在する
  • 収縮能を持つ筋膜線維芽細胞がある
  • ストレスや炎症で粘弾性が変化する

ことを示しました。

つまり、筋膜は「感じる組織」でもあり、
神経過敏と密接に関わっているのです。

3. 水の構造と筋膜の粘性

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筋膜の滑走性には、ヒアルロン酸と水の状態が大きく関与します。

この水の構造について独自の理論を提唱しているのが
Gerald Pollack
です。

彼は水には「第四の相」があると述べ、
細胞周囲の水構造が機能に影響すると提唱しました。

筋膜が「ゲル化」すると、
滑走性が低下し、張力が局所に集中します。

するとどうなるか。

・収縮時に引っかかる
・伸張時に痛む
・局所が過敏になる

つまり、痛みは“断裂”だけではなく、
“粘性の変化”からも生まれるのです。

4. なぜ改善しても戻るのか?

ここが臨床で最も難しい点です。

筋膜は機械的刺激だけでなく、

  • 交感神経活動
  • 炎症性サイトカイン
  • 睡眠
  • 栄養状態
  • 心理的ストレス

といった要素で常に変化します。

そのため、局所を緩めただけでは
「張力の再配分」が起きなければ再発します。

あなたがこれまで感じてきた
「良くなったのに戻る」という現象。

それは失敗ではなく、
身体全体のシステム問題が残っている可能性があります。

5. 現在の筋膜研究の到達点

世界の研究を総合すると、現在は次の段階に来ています。

✔ 筋膜は神経豊富な感覚器である
✔ 粘弾性は生活習慣で変化する
✔ 張力は全身ネットワークで再分配される
✔ 慢性痛は構造破壊より「過敏化」が中心

つまり、

「壊れているから痛い」
から
「調整が崩れているから痛い」

へのパラダイムシフトが起きています。

6. では、私たちはどう向き合うのか

拝志フィジカルセラピーでは、

・超低刺激で神経過敏を下げる
・滑走性を回復させる
・張力を再配分させる
・生活習慣を整える

という順序を大切にしています。

筋膜の問題が難しいのは、
「局所治療では完結しない」からです。

しかし逆に言えば、

正しい順序で身体を再教育すれば、
慢性化した痛みでも改善の余地はあります。

まとめ

筋膜の問題が難しい理由は、

  1. 全身ネットワークであること
  2. 画像に映りにくいこと
  3. 水・粘性が関与すること
  4. 神経過敏と密接であること
  5. 生活習慣と強く結びついていること

だからこそ、
“改善の余地が残っている身体” という視点が重要になります。

慢性腰痛や背中の凝りで悩んでいる方へ。

あなたの身体は壊れているのではなく、
まだ再調整できる状態かもしれません。

私たちは、その「現在地」から一緒に考えていきます。

改善したい方は、神谷町駅徒歩1分のファシアラボ

投稿者プロフィール

拝志陽介
拝志陽介拝志フィジカルセラピー代表
私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。