毎日ストレッチしても腰痛が戻るのはなぜ?本当に見るべき原因

「少し専門的で長めの記事ですが、約10分ほどで読めます」
今日はストレッチの新しい見解をお知らせします。

こんにちは。神谷町の筋膜ケア専門院【拝志フィジカルセラピー ファシアラボ】です。

毎日ストレッチしているのに腰痛が戻る方へ

毎朝欠かさずストレッチしているのに、夕方になるとまた腰が重い。そんな経験をお持ちの方は多いと思います。

続けているのに改善しない。頑張っているのに、なぜか戻ってしまう。このとき多くの方は、まだ足りないのかな、もっとしっかり伸ばした方がいいのかな、と考えます。

ですが実際には、ストレッチが悪いのではなく、腰痛の本当の原因に届いていないことが少なくありません。

ストレッチで変わっているのは筋肉の長さだけではありません

ストレッチをすると体が楽になる。これは本当のことです。ただ、その理由は多くの方が思っているものとは少し違います。

短時間のストレッチで起きている変化の多くは、単純に筋肉そのものが大きく長くなることだけではありません。研究では、可動域の改善には伸ばされる感覚への慣れや許容範囲の変化が大きく関わることが示されています。つまり、体がここまでは大丈夫と判断しやすくなることで、前より伸びるように感じるのです。 (PubMed)

体にはもともと、これ以上伸ばすと危ないと判断して動きにブレーキをかける仕組みがあります。ストレッチを繰り返すことで、その刺激に少しずつ慣れ、ここまでは大丈夫という範囲が広がっていく。これが、続けることで柔らかくなったように感じる大きな理由のひとつです。

だからこそ、しばらくやめると元に戻ることがあります。ストレッチは意味がないのではなく、変えているものが長さそのものだけではないということです。

ストレッチは大切ですが、それだけで十分とは限りません

ここでお伝えしたいのは、ストレッチそのものを否定したいわけではない、ということです。

ストレッチには、関節を動かしやすくすること、緊張した感覚をやわらげること、動くきっかけを作ること、自分の体に意識を向けることなど、大切な役割があります。慢性腰痛では、まったく動かないよりも、状態に合った運動を行う方が有効とされています。 (PubMed)

ただし問題は、ストレッチだけで腰痛の根本すべてが変わるとは限らないという点です。

慢性腰痛ではファシアの変化が関わっていることがあります

ファシアという言葉を初めて聞く方もいるかもしれません。ファシアとは、筋肉、神経、血管など、体のさまざまな組織を包み、つなぎ、支えている結合組織です。本来はなめらかに滑りながら、動きや力をスムーズに伝えています。

もちろん厳密にいうと、筋肉とファシアは完全に切り離せるものではありません。それでも分けて考える理由があるのは、素材が違い、感覚に関わる神経がファシアに豊富にあるからです。ファシアは痛みの理解にとって重要な組織として注目されており、神経の分布が豊富であることも報告されています。 (PMC)

慢性的な負荷や炎症、同じ動作の繰り返しなどが続くと、このファシアを含む軟部組織の滑りが悪くなり、質そのものが変化していくことがあります。たとえば、線維の並びが乱れる、組織同士が滑りにくくなる、粘りが強くなって重だるさや張りとして感じやすくなる、といった状態です。こうした変化が進むと、通常のストレッチで加わる力や時間だけでは、状態変化まで起こしにくいことがあります。 (PMC)

伸ばしているのに変わらないのは、伸びやすい場所ばかり伸びているからかもしれません

もうひとつ大事なのは、体は均等に伸びるわけではないということです。

筋肉や軟部組織には、伸びやすい場所と伸びにくい場所があります。中央のやわらかい部分と骨に近い部分でも性質が違いますし、もともと逃げやすい場所には先にストレスがかかります。

そのため、ストレッチをしていても、本当に負担が集中している硬い部分には十分な刺激が届かず、いつも伸びやすい場所ばかりが伸びていることがあります。すると、ちゃんと毎日やっているのに変わらない、という感覚になります。

でも実際には、努力が足りないのではありません。必要な場所に必要な変化が起きていないのです。

一生懸命やることが逆効果になる場合もあります

腰痛がある方ほど、真面目にセルフケアを頑張る傾向があります。それ自体はとても良いことです。ただ、ここで注意したいのは、丁寧にやることと強くやることは違うということです。

しっかり伸びている感じがあるくらいでやる、という言葉だけが一人歩きすると、必要以上に強く伸ばしてしまうことがあります。しかし、神経や組織が過敏になっているときに強いストレッチを続けると、かえって張りや痛みが長引くことがあります。急な痛みや損傷の初期には、過度に伸ばすことを避けるべきだという考え方は一般的です。 (PubMed)

寝違えや肉離れ、ぎっくり腰の初期などで、痛いところは無理に伸ばさないでくださいと言われるのはそのためです。ストレッチは、神経が比較的安定していて、過敏性が強すぎない状態で行うことが大前提になります。

腰痛は腰が硬いからだけで起きているわけではありません

慢性的な腰痛は、単純に腰の筋肉が短いから起きる、というものではありません。

実際には、股関節がうまく使えていない、背中や胸まわりが動きにくい、お腹やお尻の支える力が落ちている、一部の組織ばかりに負担が集中している、神経が過敏になっている、ファシアを含む軟部組織の質が変化している、といった問題が重なっていることが少なくありません。

この状態で腰だけを毎日伸ばしても、負担のかかり方そのものが変わらないため、また同じ場所にストレスが集まり、症状が戻りやすくなります。

本当に見るべきなのは、どこが硬いかより、なぜそこに負担が集まるかです

ここまでをまとめると、腰痛が戻る理由はかなりはっきりしてきます。

ストレッチには、動き出しを助けたり、伸ばされる感覚への許容を広げたりする意味があります。ですが、それだけでは、ファシアの質的変化、組織の滑りの悪さ、神経の過敏さ、姿勢や動作の癖、負担が集中する使い方まで変えきれないことがあります。

そのため、一時的に楽になっても、日常生活の中でまた同じ負担がかかれば、腰痛は戻ってきます。もし毎日ストレッチしても腰痛が戻るのであれば、それは頑張りが足りないのではなく、見るべき場所が別にあるというサインかもしれません。

当院がファシアに注目する理由

拝志フィジカルセラピー ファシアラボでは、腰痛を単に筋肉が硬いから起きるものとは考えていません。

筋肉の表面的な硬さだけでなく、ファシアの状態や神経の感受性、動きの中でどこに負担が集中しているかを丁寧にみることを大切にしています。触診や動作確認を通して、どの組織が痛みを出しているのか、どの深さに問題があるのか、どの動きで負担が集まるのか、どのセルフケアが今の状態に合っているのかを見極めたうえで、その方に必要な対応を考えていきます。

ストレッチが合う方もいます。一方で、まずは過敏性を落ち着かせること、股関節や背中の使い方を変えること、支える力を取り戻すこと、局所の組織状態に合った施術を行うことの方が先に必要な方もいます。

私たちがファシア(筋膜)に注目するのは神経分布が豊富だからです。

まとめ

毎日ストレッチしても腰痛が戻るのは、あなたの努力が足りないからではありません。

多くの場合、問題は伸ばしていないからではなく、ストレッチだけでは届かない原因が残っているからです。

ストレッチは大切です。しかし、それがすべてではありません。腰痛改善に必要なのは、やみくもに強く伸ばすことではなく、今の体に何が起きているのかを正しく見ることです。

毎日やっているのに良くならない。やるほど逆に張る感じがする。そのような方は一度、本当に見るべき原因は何か、という視点で体を見直してみてください。

慢性腰痛や背中の凝りを根本から改善したい方は、神谷町駅徒歩1分のファシアラボ

投稿者プロフィール

拝志陽介
拝志陽介拝志フィジカルセラピー代表
私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。