真面目にトレーニングしているのに、なぜ怪我をするのか
——筋肉を鍛える為にやっているのに、痛めてしまうという逆説
「ちゃんとトレーニングしているのに、また同じところを痛めてしまった」
スポーツをされている方、フィットネスに取り組んでいる方から、こういうお話を聞くことがあります。
筋力はついている。体力もある。なのになぜ、怪我が繰り返されるのか。
実はこれ、「真面目にトレーニングしているから起きる」という側面があります。今回はその理由を、ファシア(結合組織)の観点からお伝えします。
重いものを持ち上げるには「固定」が必要
筋トレで重い負荷を扱うとき、体のどこかを固定しなければ力を発揮できません。
たとえばベンチプレスなら、胸や腕を動かすために肩甲骨・胸郭をしっかり固定します。スクワットなら、脚を動かすために腰椎・骨盤を固定します。
この「固定」は必要なことです。でも固定が続くと、その部位のファシア(結合組織)に持続的な緊張が入り続けます。その結果、ファシアが少しずつゲル化・硬化していきます。
「動かす側」と「固定する側」の境界が危ない
もうひとつ重要なことがあります。
動かす部位と固定する部位のあいだには、必ず「境界」があります。そしてその境界部分に、負荷が集中します。
ベンチプレスで言えば、動かす胸・上腕と、固定する肩甲骨のあいだ——肩の前や後、肘の外側がその境界です。
スクワットで言えば、動かす大腿・下腿と、固定する腰椎・骨盤のあいだ——腰仙移行部・仙腸関節周囲がその境界です。
慢性的なスポーツ障害や繰り返しの怪我が起きやすい場所は、多くの場合この「境界」と一致します。

連動性が失われるとき
本来、体は「一枚のゴムシート」のように全体で連動して動くはずです。
どこかに力が加わっても、全体に分散される。一点に集中しない。
ところが筋トレで特定の部位だけを強化・固定することが続くと、そのゴムの一部だけが硬く厚くなった状態になります。
硬くなった部分は動かない。隣の部分との境界に応力が集中する。そこが断裂・炎症の起点になる——これが、真面目にトレーニングしている人に怪我が多い、力学的な理由のひとつです。
「つながり」を意識したトレーニングの考え方
近年、スポーツの世界でも「ファシアの連動性」を重視するアプローチが注目されています。
足底から臀部(おしり)、そして体幹へとつながるファシアのラインを意識したトレーニングは、局所の筋力強化とは異なる効果をもたらします。重いものは持ち上げられなくても、体全体が一体となって動く感覚を取り戻せる。
これは筋トレを否定しているのではありません。筋力は必要です。ただ、連動性を犠牲にして局所出力だけを高めるトレーニングには、怪我というリスクが潜んでいる、ということです。
施術の役割——「解放してから、使えるようにする」
施術の役割は、硬化・ゲル化したファシアを解放して、体が本来の連動性を取り戻せる状態にすることです。
「また同じところを痛めた」「トレーニング後に故障した」という方は、ファシアを意識して行うことで、筋力と張力を上手く使ったパフォーマンスの向上や怪我予防の第一歩になるかもしれません。
怪我なく動き続けるために
好きなスポーツを思い切り楽しみたい。試合に出続けたい。体を動かすことを、年齢を重ねても続けたい——。
ファシア(筋膜)の連動性を意識して、筋トレやストレッチやマッサージなどのケアすることは
ケガ防止に不可欠な要素です。
「慢性的なスポーツ障害で困っている」「痛みの原因組織を知りたい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
- 筋トレで重い負荷を扱うには「固定」が必要で、固定部位のファシアが硬化しやすい
- 「動かす側」と「固定する側」の境界に負荷が集中し、そこが怪我の起点になりやすい
- 体本来の連動性(全体が一枚のゴムのように動く感覚)が失われることが問題
- ファシア(筋膜)の理解をし、トレーニングの工夫やケアをすることで、効果を高め怪我を防ぐことにつながる。
拝志フィジカルセラピー ファシアラボ(東京・神谷町) 院長:拝志
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「これは治るんでしょうか」という問いも、一緒に考えます。
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投稿者プロフィール

- 拝志フィジカルセラピー代表
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私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。
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