慢性腰痛がなかなか治らない、本当の理由

——ファシア(結合組織)の硬さには、3つの段階がある

「何年も治療を続けているのに、なぜ良くならないんだろう」

そう感じたことはありませんか。

マッサージを受ければその日は楽になる。でも翌朝にはまた元に戻っている。
整体に通っても、ストレッチを続けても、どこか「根本が変わっていない」という感覚が拭えない。

慢性腰痛で複数の院を経験してきた方に共通しているのは、そういった「治っていない感覚」を長年抱えてきたということです。

この記事では、なぜ慢性腰痛の改善にはある程度の時間が必要なのか、ファシア(結合組織)の研究から分かってきたことをお伝えします。

ファシアとは何か

まず「ファシア」という言葉を簡単に説明します。

ファシアとは、筋肉・骨・内臓・神経など、体のあらゆる組織を包んでつなぐ「結合組織」のことです。筋膜とも呼ばれますが、筋膜はその一部に過ぎません。

鶏肉を調理するときに見える、白い薄い膜のようなもの——あれがファシアです。

体全体に三次元のネットワークとして広がっており、姿勢・動き・痛みの伝わり方に深く関わっています。

鶏肉の膜(ファシア:筋膜)

硬さには「3つの段階」がある

「ファシアが硬い」といっても、その正体はひとつではありません。
硬さによって、改善にかかる時間がまったく違います。

第1段階:一時的な硬さ(チキソトロピー)

朝起きたとき、体がこわばっている感覚は誰でも知っているはずです。

これはファシアの「チキソトロピー」という性質によるものです。ファシアは静止した状態だと粘り気が増し、動き始めると流動的になります。ちょうどケチャップのように——容器の中では動かないのに、振ると急にサラサラと流れ出す。

この段階の硬さは比較的すぐに対処できます。動けばほぐれる。施術の効果も出やすい。

第2段階:層と層の間が固まった状態(緻密化):ゲル化

もう少し深い問題が、「緻密化(densification)」と呼ばれる状態です。

ファシアの層と層の間には、ヒアルロン酸という潤滑剤のような物質があります。これが正常に機能していると、組織の層が滑らかに滑走できます。

しかし慢性的な動かなさ・過剰な負荷・脱水などが続くと、このヒアルロン酸が凝集して粘性が高まり、層が互いに固まったような状態になります。

この段階になると、「動けばすぐほぐれる」では対応できません。施術・水分補給・適切な動きを組み合わせて、数週間から数ヶ月単位で対処していく必要があります。

第3段階:コラーゲン繊維自体が変質した状態(線維化)

最も深刻なのが、ファシアを構成するコラーゲン繊維そのものが変質してしまった状態です。

慢性的な炎症・加齢・糖化(砂糖の摂りすぎなど)が続くと、コラーゲン繊維同士が化学的に結合(架橋)し始め、組織全体が硬い瘢痕(はんこん)のような状態へと変わっていきます。

この変化は、一時的な硬さとはまったく別物です。組織を生物学的に再生するプロセスが必要になるため、どうしても時間がかかります。

これは施術の効果が弱いのではなく、「組織が再生する速度」そのものの問題です。

なぜ慢性化すると回復が遅くなるのか

長年の慢性腰痛を抱えている方の多くは、この第2段階から第3段階の状態が積み重なっています。

特に——

  • デスクワークなどで長時間同じ姿勢が続いている方
  • 甘いものやアルコールを日常的に摂る習慣がある方
  • 「ずっとこの痛みと付き合ってきた」という年数が長い方
  • 大き怪我や事故の後に痛くなってきた方

——こういった方は、ファシアの硬化が深い段階まで進んでいることが多い印象があります。

「時間がかかる」のは、回復が進んでいるサイン

施術を受けていて「なかなか変わらない」と感じるとき、それは諦めるサインではありません。

組織が再生するには、細胞レベルのプロセスが進む時間が必要です。施術後に「翌日のほうが楽になる」「数日経ってから変化に気づく」といった経験をされた方も多いと思いますが、それはまさに組織が応答しているサインです。

腰痛が改善した先に、何をしたいですか?

旅行で思い切り歩きたい。孫と一緒に公園で遊びたい。趣味のゴルフを再開したい。
仕事に集中できる体に戻りたい——。

そのゴールに向かって、ファシアの状態を一段階ずつ解放していくことが、当院の施術の基本的な考え方です。

まとめ

  • ファシアの硬さには「一時的な硬さ」「緻密化」「線維化」の3段階がある
  • 慢性化が長いほど、深い段階の変化が積み重なっている
  • 回復に時間がかかるのは、組織が生物学的に再生するプロセスに時間が必要であるから
  • 「なかなか変わらない」は諦めるサインではなく、丁寧に進む必要があるサイン

もし「何年も腰痛と付き合ってきたけれど、根本から変えたい」とお考えの方は、お気軽にご相談ください。

拝志フィジカルセラピー ファシアラボ(東京・神谷町) 院長:拝志

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初回は90分。丁寧に話を聞き、触診で状態を確認してから施術に入ります。

「これは治るんでしょうか」という問いも、一緒に考えます。

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投稿者プロフィール

拝志陽介
拝志陽介拝志フィジカルセラピー代表
私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。