痛みの場所を治療しても改善しない理由
ー慢性腰痛や背中の凝りが繰り返す本当の原因とはー
張力集中という考え方
慢性腰痛や背中の凝りで来院される方の多くが、こうおっしゃいます。
痛いところをずっとマッサージしているのに良くならない。
電気や注射をしても、また戻ってしまう。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか。
今日はその背景にある張力集中という考え方についてお話しします。
痛みの場所が原因とは限らない理由
私たちはどうしても、
腰が痛いから腰が悪い。
肩が痛いから肩が壊れている。
と考えてしまいます。
もちろん、急なケガや炎症であればその場所が原因です。
しかし慢性的な腰痛や背中の凝りの場合、痛みが出ている場所は結果であることが少なくありません。
痛みが出ている場所は、負担が集まってしまった場所です。
これを私は張力集中と呼んでいます。
張力集中とは何か
身体は筋肉や骨だけでできているわけではありません。
全身はファシアと呼ばれる組織でつながっています。

ファシアは全身を包み、連続しているネットワークです。
この考え方を広めたのがThomas W. Myersの提唱したアナトミートレインという概念です。
身体は部分ではなく、つながりで動いています。
どこかの動きが悪くなると、別の場所が代わりに働きます。
そして最終的に一番負担が集中した場所が痛みとして現れます。
これが張力集中です。
実際の患者さんのエピソード
40歳代の女性の方で、スポーツパフォーマンス向上とメンテナンス目的で通われている方がいらっしゃいます。
左の股関節が右より回しにくい。
スムーズに動かないし、少し重たい。
そう訴えられました。
しかし実際に股関節の動きを詳しく確認すると、左右差はほとんどありませんでした。
さらに丁寧に診ていくと、左の腰の背筋群に明確な左右差がありました。
そこが硬く固定されていたため、股関節を動かす際の支えがうまく機能していなかったのです。
この方はもともと腰に痛みはありません。
しかし股関節の動きの制限は、股関節そのものではなく腰にあったのです。
ここから見えてくるのは連動性です。
どこかの動きが制限されると、別の場所が柔らかくなりすぎたり、逆に固まったりしてバランスを取ります。
身体は常に全体として安定する形に落ち着こうとしています。
なぜマッサージで一時的に良くなるのか
マッサージや電気治療で楽になることはあります。
それは血流が良くなり、神経の興奮が一時的に落ち着くからです。
しかし張力の分布そのものが変わっていなければ、身体は元のバランスに戻ります。
これが戻ってしまう理由です。
慢性腰痛や背中の凝りが繰り返す背景には、負担の集まり方が変わっていないという問題があります。
慢性腰痛でよくある張力集中のパターン
例えば、
股関節の動きが悪い
足のアーチが崩れている
胸が硬く呼吸が浅い
このような状態があると、本来安定を担う腰が過剰に働きます。
その結果、腰に負担が集中します。
腰だけをいくら緩めても、股関節や足、胸の状態が変わらなければまた腰に負担が戻ります。
これが痛みの場所だけを治療しても改善しない理由です。

どうすれば根本改善できるのか
大切なのは、痛みの場所ではなく負担の流れを見ることです。
どこが動きすぎているか
どこが動かなさすぎるか
どこに硬さがあるか
呼吸はどうか
身体の支えは安定しているか
このように全体を観察します。
時には局所への介入が必要な場合もあります。
しかし順番があります。組織が変性(肥厚:ファシア(筋膜)が厚くなっている)などの
固定が強い場所を放置したまま全体だけ整えても変わらないこともあります。
大切なのは理論ではなく、身体の反応です。
そこにはこうしたら良いという正解などは存在しません。身体との対話が必要なのです。
痛みは敵ではなくサイン
私は患者さんにこうお伝えしています。
痛みは敵ではなく、身体からの情報です。
ここに負担が集まっていますよ。
ここを見直してください。
というメッセージです。
痛みを消すことだけを目的にすると、身体との信頼関係は築けません。
本当に大切なのは、自分の身体を理解することです。
まとめ
慢性腰痛や背中の凝りが改善しない理由は、
痛みの場所が原因とは限らない
負担が集中した結果として痛みが出ている
身体は全体でバランスを取っている
という点にあります。
身体は壊れやすいものではありません。
本来は回復する力を持っています。
その力が発揮される環境を整えることが大切です。
痛みを消すことがゴールではありません。
自分の身体と信頼関係を取り戻すことが本当の目的です。
慢性腰痛や背中の凝りを根本から改善したい方は、神谷町駅徒歩1分のファシアラボへ
投稿者プロフィール

- 拝志フィジカルセラピー代表
-
私が「筋膜(ファシア)」に注目するようになったのは、オーストラリアのカイロプラクティック大学で学んでいたとき、自分自身が背中の痛みや頭痛に悩まされたことがきっかけです。
その痛みの原因が「筋膜」にあることに気づき、出会ったのが、筋膜に振動刺激を与えてアプローチする「マイオセラピー」でした。
自分の身体でその効果を実感できたからこそ、この施術法は自然と、私の施術の中心になっていったのです。
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